2023.05.29
西村京太郎【十津川警部 L特急しまんと殺人事件】
著者:西村京太郎
価格:946円
カテゴリ:一般
発売日:2015/01/16
出版社: 徳間書店
レーベル: TOKUMA NOVELS(トクマノベルズ)
利用対象:一般
ISBN:978-4-19-850954-5
行方不明 になった三田村刑事の叔父夫妻。夫妻を探しに旅に出た彼が、旅の途中で特急“しまんと”の車中の殺人事件に遭遇。さらに足摺岬での転落死事件を巡り、叔父が容疑者として追われることになった。二つの事件を結ぶ見えない糸を辿り、十津川警部は四国へ向かった。
宗教がからんだ話は、あまりいい後味を残さない。
たしか【静おばあちゃんにおまかせ】にも宗教団体に乗り込む話があったが、信じ込んでいる人たちは難しい。
タイトルの「L特急しまんと」だが、最初の殺人事件があっただけで、あとは関係ない。
それでも、作中色々な列車が出てきたのは、楽しかった。
四国はほんの入り口しか知らない。
一度高知へ招いて頂いたのだが、翌日が徳島でその次は大阪で会議だったので、残念ながらお断りしたことがある。
今でも残念だ。
あの「日本三大ガッカリ名所」は、見ておきたかったのに。
それはそれとして、「四国は(海の)青の国」というより「(列車が山の中を走る)緑の国」だという登場人物の感想が面白かった。
山の中でも飽きないし、乗りに行きたいなぁ。
コンビニ大手、今期中に雑誌棚の完全撤廃検討
コンビニ大手、今期中に雑誌棚の完全撤廃検討…週刊誌1000円時代へ突入「文庫は1600円、新書は1200円」いったい誰が買うのか
以前は、コンビニで雑誌を買っていたこともある。
今は、Dマガジンでほぼ用が足りている。これに入っていない雑誌でたまに購入するのは、「婦人之友」くらいだ。
それにしても、本代が高すぎるような気がする。
文庫本の1000円超えなど、信じられない。
画像は6年前。退院時にランチをした場所かな?
2023.05.28
役所広司さんにカンヌ映画祭男優賞
役所広司さんにカンヌ映画祭男優賞 「怪物」で坂元裕二さんに脚本賞
カンヌ映画祭男優賞といえば、柳楽優弥君を思い出す。もう20年近く前のことになるのか。
今回も、是枝裕和監督のことが出ていた。柳楽君の受賞作「誰も知らない」も、是枝監督の作品だった。
是枝監督は、【それでもテレビは終わらない】の印象が強いのだが。
画像はカンヌ。Wikipediaからお借りしました。
辻村深月他【時の罠】
著者:米澤穂信他
価格:539円
カテゴリ:一般
発売日:2014/07/10
出版社: 文藝春秋
レーベル: 文春文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-16-790146-2
綺羅、星のごとく輝く人気作家たちによる、“時”をテーマにしたアンソロジー
米澤穂信もあったので読んでみたが、狙いの本編はまったく面白くなかった。残念!
もう一つ、万城目学の【トシ&シュン】も、万城目らしいのかもしれないが外れだった。
冒頭作、辻村深月【タイムカプセルの八年】は、PTA(親父会なるもの)のめんどくさい付き合いを嫌っていた語り手が、かなり積極的に息子を救う行動に出るのが面白かった。実は自分の生活が脅かされるのを恐れたのではあったが……。
結局妻も息子も、そのことを知らないままだったのだろう。だが息子は、担任の本質を早くに見抜いていたようだ。
こういういわゆる「熱血教師」(受け狙い教師とも言う?)って、いるんだよね。
教師の本分は、やはり子どもたちにしっかりした学力をつけることではないのか。
最後の湊かなえ【長井優介へ】も、タイムカプセルを扱っている。
湊かなえは何となく敬遠してきていたが、本作はよかった。
「時」は時に罠を仕掛ける。小学校時代からの思い込みが、タイムカプセルを開けるときになって、初めて明らかにされる。
家庭教師だった緑川先生の、なんとも言えぬ粋な計らいに涙が出る。
だが、語り手の今の苦境が無くなったわけではないが……。
2023.05.27
松田 哲夫【悪人の物語 (中学生までに読んでおきたい日本文学 1)】
著者:松田哲夫 (監修, 編集)
価格:1,980円
カテゴリ:中学生
発売日:2010/11/01
出版社: あすなろ書房
利用対象:中学生
ISBN:978-4-7515-2621-7
山村暮鳥「囈語」/森銑三「昼日中/老賊譚」/芥川龍之介「鼠小僧次郎吉」/
宮沢賢治「毒もみの好きな署長さん」/中野好夫「悪人礼賛」/野口冨士男「少女」/
色川武大「善人ハム」/菊池寛「ある抗議書」/小泉八雲「停車場で」/
吉村昭「見えない橋」/柳田国男「山に埋もれたる人生ある事」
このシリーズ、初っ端が「悪人」という括りなのは、何とも皮肉な気がするが……。
「悪人」というのはこんなもんだから、中学生になるまでに勉強しておこう、ということか??
この中では、野口冨士男の【少女】が良かった。
ネタバレになるが、たしかに誘拐は犯罪だ。しかももっとも卑劣な。
しかしこれを読むと、主人公に肩入れしたくなってくる。
2023.05.26
青山美智子【月の立つ林で】
著者:青山美智子
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2022/11/09
出版社: ポプラ社
利用対象:一般
ISBN:978-4-591-17535-4
つまづいてばかりの日常の中、タケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』の月に関する語りに心を寄せながら、彼らは新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく。
【一章 誰かの朔】
元看護師の怜花は、職場の人間関係に疲れて退職し、今は家で家事をしている。
隣家の猫を預かることになったが、再就職の面接では落とされる。
ラジオのポッドキャストを聞くのが楽しみだ。
そんな折、ネットで自分の姓の一字である「朔」という名の指輪を見つける。「新月」をイメージしたものだという。
必ずしも新しいことにチャレンジするのではなく、「リセット」という考え方を指輪の作者に教えて貰えた気がして、怜花は医療系の仕事を探すのだった。
姿の見えない「新月」は、巡り来る最初の日なのか。
この日を何かのはじめの日にするのも、いいなぁ。
【二章 レゴリス】
宅配便の配達をしている「僕」は、かつてお笑い芸人になりたいと夢があった。
せっかく内定を貰っていたのに、実際に養成所に入って芸人を目指す。しかしあっさりと挫折。しばらくは「ピン芸人」ではあったのだが……。
ここで突然、【一章】の怜花の弟 朔ヶ崎佑樹が出てきてビックリする。
彼は「僕」がコンビを組んでいた相棒「サク」だったのだ。
「レゴリス」というのは、月の表面の細かい砂のことのようだ。まんべんなくまかれた砂があるので、満月はお盆のように見えるのだと。
本編の最後は、ポッドキャストによる「新月」の話だった。「僕」もタケトリ・オキナのポッドキャストを聞いているのだ。
見えない新月に、願いをかける。
そしてそのあと、祈りを込める。
そこに変わらずいてくれる大きな存在に。
この辺まで来ると、登場人物の互いの出会いがかなり作り物めいてくる。
【三章 お天道様】
【四章 ウミガメ】
【五章 針金の花】
【二章 レゴリス】での「僕」は、【四章 ウミガメ】で宅配便の伝票の署名「本田」でのみ登場。
父が出ていき、母子家庭で育った【四章 ウミガメ】の少女は、「夜風」と名付けたスクーターを相棒にしてアルバイトをしている。
その配達先で出会った同級生は、しかも朔ヶ崎佑樹が所属している劇団主宰の息子だった。
彼の母親も、父と喧嘩して出て行っている。
「母恋し」の気持ちが、彼のもう一面を引き出したのだが、それが明かされるのは最終話だ。
「夜風」は、ピン芸人「僕」のSNSに唯一「イイネ」をつけてくれていた。
【五章 針金の花】は、切り絵を極めたくて一人暮らしをしている女性の話。
ここでPodcast たけとり・おきなの「つきない話」の謎も解明。
彼女が電話で医療相談を受けたとき、親身に相談に乗ってくれたのが怜花だった。
「一章」で再就職が決まらず悩んでいた怜花は、電話相談窓口とは言え、医療関係に就職出来たものと見える。
と、好きで読んで来た著者の作品。
まずは大団円ではあるが、著者の作品は概ねこのパターンが多いようで、「感動するでしょ」ではあるが少々食傷気味になってきた。
山口惠以子【婚活食堂1】
著者:山口惠以子
価格:748円
カテゴリ:一般
発売日:2019/09/09
出版社: PHP研究所
レーベル: PHP文芸文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-569-76954-7
ときにほろ苦くも心あたたまる連作短編集。
【一皿目 復活のおでん】
おでん屋の女将は、元は売れっ子の占い師だった。
すっぱりと縁を切ったはずだが、時折また当時の超能力がよみがえる時がある。
常連たちは色々な人がいて、それぞれの結婚観など覗える。
【二皿目 呪われた山菜】
おでん種に、山菜は珍しがられる。
しかし田舎で散々山菜を食べさせられてきた人にとっては、うっとうしい存在のようだ。
今回も結婚に関する話題にはことかかない。
【三皿目 豚コマと愛の炒め物】
A5ランクのビーフステーキのような高額品ではなく、豚コマと季節の野菜を炒めたような、身近でつつましいしあわせ
を望む結婚もあるという、三皿目。
【四皿目 牡蠣のカレーでつかまえて】
【五皿目 おでんは愛の言葉】
『婚活食堂 1』レシピ集
レシピ集に掲載のものもあるが、このおでん屋のちょっと変わったおでん種は、いずれもおいしそうだ。
この冬には、定番だけではないものにも挑戦してみよう。
いやその前に、夏のおでんもいいかもしれない。
トマトなんて、まったく発想になかった。
2023.05.25
有栖川有栖【壁抜け男の謎】
カテゴリ:一般
発売日:2011/04/23
出版社: 角川書店
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-191310-9
犯人当て小説から、敬愛する作家へのオマージュ、近未来小説、官能的な物語まで。色彩感豊かな「16」の物語が貴方を待つ。有栖川有栖の魅力を満載した、傑作作品集!
上記のような紹介文だが、16も入っているので、一つ一つはごく短い。
再読だが、殆ど覚えていなかった。
サクサクと読んで行けても、心に残る作品が少なかったのだろう。
今回も結局同じような感触で、今ひとつ面白くなかった。
イヤミス系が多くて、ザラッとした読後感が多かったせいかもしれない。
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【壁抜け男の謎】(21.10.04)
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