貫井徳郎「慟哭」
まさに、「慟哭」である。事件であれ事故であれ、子を喪った親の悲しみの深さに共感できる。
時系列をうまく配しての進行ではあるが、途中で結末がわかってしまうのが惜しい。
また、余りにも偶然に頼りすぎた点も、この作品を弱くしていないか?
冒頭しばらく「ジュワジュワと」「ぐずぐず」「ぐちゃぐちゃと」といった造語らしいのが気になったが、この3箇所だけだった。
元サイト更新は、後刻。
さて、犯人からの手紙と捜査側からの挑発のあたりは、矛盾していると思うが? 以下ネタバレ注意
*****
犯人を挑発したのは、佐伯である。その佐伯の出ているニュースを見ている「彼」がいる。3通目の手紙は、はっきりと佐伯宛になっている。
実はここまでで真相がわかったつもりだったのが、この部分で少し混乱した。
走り読みだったので見落としている部分がないとは言えない。ゆっくり検証すればわかるのかもしれないが、このあたりのことを解決していらっしゃる方がおられたら、ご教授いただきたい。
また、新興宗教に関心を持ったのも捜査中のことだ。退職後、あらためて勉強し直したのではなく須藤を通して知識はかなりあったはずだ。ここも引っかかる点だ。
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コメント
こんばんは。慟哭を今読了して?と思って
検索してみてここにたどりつきました。
時系列がなんだか矛盾している
そう思います。納得いかないのです。
どなたか明快に語れる方 いませんかね。。
投稿: しいちょ | 2006.06.24 22:00
しいちょさん、ようこそ。
これを書いてからもう殆ど2年経ちました。細かいことは殆ど忘れているのですが、何となくしっくり来なかったことだけは覚えています。
もしかしたら連載もので、作者も以前書いたことを忘れてしまったのでしょうか?
投稿: 涼 | 2006.06.25 00:47