◆森博嗣【夢・出逢い・魔性】
夢・出逢い・魔性(講談社文庫) | |
森博嗣〔著〕 出版社 講談社 発売日 2003.07 価格 ¥ 700(¥ 667) ISBN 4062738066 bk1で詳しく見る |
TV局を舞台に起こる密室殺人の意外な正体。クイズ番組に出場するためTV局を訪れた小鳥遊練無らは、事件に巻き込まれる。密室内に残された死体には、傷あとが2つ。しかし、銃声はたったひとつだった…。
再読。これで、Vシリーズは終わり。
保呂草達4人の行動と犯人のモノローグを交互にして、物語は進んでいく。
最初の(以下ネタバレ注意)
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タクシーに乗った時点で思い出したので,そういう意味ではドキドキ感は無かった。
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今回のテーマは、「男と女?」
稲沢探偵に存在感がある。しかし、前回読んだ時の印象はまったく覚えていない。従って(以下ネタバレ)
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稲沢が女性だったということも忘れていた。
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マスコミについての紅子の分析
「スポットライトは、それ以外のところを暗くする効果があるし、マイクを使えば、その周辺以外の声や音は聞こえなくなる。テレビとか新聞とか、マスコミって、本当に歴史が浅いわけ。今はまだ、たまたま勝ち取った自由に酔っている。意志や価値観まで量産できると思いこんでしまって、知らず知らずに、それを押し売りしてしまう。酔っぱらいが自慢話をしようとしているだけ。(中略)」
「でもさ、結局、テレビって面白ければそれで良いんじゃない?」「それだけが面白い、と思い込まない客観性を、みんながもっていればね」
練無の姿を想像するのは楽しい。テレビというメディアが舞台だが、皮肉なことにこの小説を映像で見てしまうのは興味が半減するだろう。読者それぞれが作り上げる登場人物を映像化で壊されたくない思いがある。特に稲沢についてはそうだ。
そして作者は、一度もアンフェアなことはしていない。
追記:9月6日
P.190から引用
自分の夫が殺されたばかりなのに、彼女は落ち着いていた。どこか冷めている。保呂草にはそれが不思議でもあり、また、自然でもあると思えた。これが、人間の本性、本来の動物のしての機能かもしれない。愛する者の死、仲間の死を受け入れるために、まるでローンを組むように、少しずつショックを分散するのだろう。
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