曽野綾子【天上の青】
天上の青 下巻(新潮文庫)
曽野綾子著 出版社 新潮社 発売日 1993.09 価格 ¥ 660(¥ 629) ISBN 4-10-114629-2 bk1で詳しく見る |
「天上の青」というのは、朝顔の名前。西洋朝顔で、ヘヴンリー・. ブルーというのだそうだ。
この小説は、実際の話をモデルにしているが、小説としては雪子の描き方に興味があった。
それにも増して、出てきた場面は少ないが、弁護士の風見渚がいい。その夫という人もいい。
檜垣という警察官もいいと思う。
NHKで、佐藤浩市が富士男役でドラマになっていたような記憶がある。雪子役は誰だったろう?
この本のテーマは、何だろう?『祈り』だろうか?
いつにも増して、『生きる』ということを考えさせられた本だった。
その理由を同じ囚人だった一人の精神科医が聞いたとき、彼は答えた。 「それは、私がそのことに泣き抜いたからです」(アウシュビッツの抑留生活中「飢餓浮腫」という病気に苦しんだ病人が、それを克服した話。)
「だから私、原則としては私でいいという方のは全部引き受けるんです。ただ例外は、威張って雇ってやるという感じの方ね。そういう人は私が断ったって誰でも引き受けると思ってるわけだから断っても逆に何でもないのよ」(弁護士・風見渚の言葉)
マザーテレサにとって、人間が死ぬことは自明の理なのである。死ぬこと自体は異常なことでも何でもない。ただその生涯が、生きるに値するものだったかどうかだけが問題なのだ。(死を待つ人の家)
雪子が、祈ることはしたいのに教会へ行って人と会うのが嫌だという気持ちが非常に理解できる。
今年、[天上の青]を植えよう。
関連記事:「天上の青」(05.03.10)
天上の青(下)
平成五年九月二十五日発行
平成十五年五月三十日十四刷
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コメント
雪子役は桃井かおりです。
私は本を所蔵しない主義ですが、これだけは単行本で持っています。
私の人生を変えたと言ってもいい作品です。
-『私たちは誰も、他人の心の中を過ぎて行った思いの真相を知りません。
ですから、神に成り代わって他人を告発するな、と神はおっしゃったのです』-(作品より)
私自身がクリスチャンということもありますが…。
投稿: 芝と苑の管理人 | 2005.03.13 23:28
芝と苑の管理人さん、もうすぐお引っ越しですね。
この本を読んだことと、今回の気分との関連がありそうです。前回読んだときは筋を追っただけだったような気がします。
信仰をお持ちなのはいいですね。
投稿: 涼 | 2005.03.14 15:54