仁木悦子【猫は知っていた】
デビュー作。第3回江戸川乱歩賞受賞作。
ここに登場する猫はクロネコだが、表紙は白猫。耳と口の周り、手足とシッポの先だけが黒い。
何だか古い映画を見ているような不思議な感覚がよみがえってくる。
大学生の雄太郎・悦子兄妹が、下宿先の殺人事件を解決する。
下宿先は医院だが、お風呂もないので銭湯へ行く。戦争が終わってまだ10年経っていない頃の話。
それまで童話を書いていた著者初の推理小説、それも本格ものだが、殺人方法にやや無理のあるものもある気がする。
雄太郎・悦子兄妹のデビューでもあるのだが、実生活では長兄は戦死している。家庭教師的に勉強を教えてくれたのは次兄だったのだろうか。
仁木悦子=推理作家だが、「戦死した兄さんを悼む」というサブタイトルの付いた【妹たちのかがり火】という2部作もある。
「かがり火の会」という、戦争で直接間接に身内を失った方達の追悼文集と言っていいだろうか。
段々もう少し調べていきたくなった来た。
08年6月15日追記
最近、探偵小説三昧のsugataさんのところへお邪魔しています。
sugataさんの仁木悦子『猫は知っていた』(講談社文庫)が、大変興味深かったです。
トラックバックさせていただきました。
「猫は知っていた」
昭和50年1月15日第1刷発行
昭和61年4月4日第32刷発行
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コメント
どんな小説なんでしょうね。是非読んでみたいです。
今、近所の方から「涙」(作者=乃南アサ)という
小説をお借りして読んでいます。久々の読書です。
投稿: kuro-mama | 2005.03.20 20:37
もう単品では絶版のようなのですが、講談社文庫の江戸川乱歩賞全集シリーズには入っているようです。
ワコちゃん、かわいいですね。一日見ていても飽きないでしょ。
投稿: 涼 | 2005.03.21 01:03