◆有栖川有栖【孤島パズル】
孤島パズル(創元推理文庫) | |
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有栖川有栖〔著〕 出版社 創元社 発売日 1996.08 価格 ¥ 660+税 ISBN 4-488-41402-8 |
再読。
デビュー第2作目。デビュー作「月光ゲーム」より登場人物も整理されて読みやすい。
なにより貴重な江神ものだしアリスもまだ2回生でかわいい。同じ大学生同士でも先輩はグッと大人に感じるものだ。もっとも江神は7回生だが、それでも弱冠25歳。
孤島という設定そのものが密室。犯人はその場所にいるものの中に必ずいる。
犯人はわかって読んでいるのだが、再読に耐えうる本。
今回も、江神の人間としての温かさ・やさしさに触れることが出来る。
最後近く、犯人を追いつめる場面で、しかしちゃんと逃げ道も用意しているし、もっとも聞かせたくない人への配慮も怠りなく済ませている。
こうして、アリス2回生の夏は終わった。
江神さんは余念なくジグソーパズルの仕分けを続けていた。この人は別段、ジグソーパズルに興味など持っていないのだが、やり始めたらベストを尽くさずにはいられないのだろう。そんなところも、僕がこの人を好きな理由の一つだった。はい、わたくしも江神さん大好きです。
余談だが、
アリス・江神とこの孤島へ招いてくれた同じ推理研のマリアの3人が時折ミステリ談義をするのだが、コリン・デクスターのパズラー作家としての力量の如何を考察している時だった。
コリン・デクスターが出てきて嬉しかったりする。
しかし、何故著者は、江神ものを書き続けてくれないのだろう。ご自身年を重ねられ、作家アリスも中年になった。火村という探偵も生み出した。
でも、時には若返ってもいいではないか。
解説(光原百合)氏が、解説という役割を超えて”江上さんへのファンレター”を書いてしまったのも、むべなるかな
孤島パズル
1996年8月30日 初版2001年4月27日 17版
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