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2005.05.25

中島義道【ひとを〈嫌う〉ということ】

ひとを〈嫌う〉ということ
ひとを〈嫌う〉ということ 中島義道〔 著〕
出版 角川書店(角川文庫)
発売日 2003.08
定価 本体476円
ISBN  4-04-349602-8
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人から嫌われたくない私。すべての人を好きになれない私。「嫌い」という痛みを受け入れるにはどうすればよいか? 哲学者が処方する、きちんと人を嫌える生き方。

目次より
1. 全ての人を好きにはなれない
嫌われたくない症候群
2. 「嫌い」の諸段階
日常的な「嫌い」こそ難問である
3. 「嫌い」の原因を探る
4. 自己嫌悪
5. 「嫌い」と人生の豊かさ

「嫌いの原因」については、この本を教えていただいたムギさんのブログひとを“嫌う”ということ~「嫌い」の原因を理解するに載せてくださっています。

誰かを好きだということは比較的簡単に表に出せるが、嫌いだということは口に出してはいけないことのように思いがちだ。
しかし、好きがあれば嫌いがあるのは当然で、この本はそのことを直視することから考えさせてくれる。

あらゆる人を好きになるのは無理なのだから、嫌いな人は何故嫌いなのかをきちんと自分の中で整理して、うまく付き合っていく方法を学ぼうというもの。

事故や事件が契機になっての非常に深刻なものではなく、日常生活の中でごく普通に起きてくる感情について書かれているだけに説得力がある。
好きな人とは言ってもその人の全てを好きなのだろうか?いや、部分的には嫌いなところもあるしそれが自然だ。

嫌いな人とは上手に距離を置いて付き合うこと。

【和して動ぜず】という君子のたしなみとも違う。
ふたりのあいだには、適当に不穏な空気が漂っていてもいい。それをたえず確認する関係でよい。
諸個人のどうしようもない差異を徹底的に認めてそこからスタートし、そのただ中にごまかすことなく自分を置く。
どうです。少しは気が楽になりませんか?

嫌いという感情を罪悪視するのでなく、その感情を認めた上で対処する。それなら何とかなりそうだとは思えてきませんか。

逆に嫌われているかもと認識したときも、それにあわてふためく必要はない。何か悪いことをしたかと猛反省する必要もない。相手は、かならずしもこちらに落ち度があるから嫌っているのではないからだ。

相手が自分を嫌っていると直感したときは、まず「そういうこともあるな」とでんと構えるしかありません。
仕事上はあたかも嫌われたいないかのようにしっかり振舞うこと。


それにしても著者の経験というのはスゴイ。家族でここまで徹底出来るかというのが少々不思議な気もする。

上記、ムギさんの記事にトラックバックさせていただきました。

26日追記
ビアンカさんの嫌われたくない症候群・Tompeiさんの『ひとを<嫌う>ということ』(中島義道)にトラックバックさせていただきました。

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

涼さん、こんにちは。

今日、図書館でこの本を借りてきたところです。
私はかなり「嫌われたくない」タチなので、これを読んだら気が楽になるかも……と思っています。

投稿: Tompei | 2005.05.25 17:41

Tompeiさん、書くだけ書いてちょっとPCから離れていました。

涼は結構嫌われているので(多分)、慣れているとはいうものの、メカニズム?が解れば落ち込まずに済むというものです。
日常的な「キライ」という感情だというのが、むしろ怖いような気もしますが。


投稿: | 2005.05.25 17:59

はじめまして。偶然こちらを見つけたのですが、私もこの本を読んで徹也さんと同様の感想を抱き、記事をアップしていているので、「あっ、同じ!」と思いました。

みんなに好かれるなんて無理です。嫌われてもあまり気にしないことですよね。どうにもできないことが多いんですから。

投稿: ビアンカ | 2005.05.26 10:09

ビアンカさん、はじめまして。コメントを有り難うございます。
なかなか辛口の、面白い本でしたね。でも、確かに気が楽になって自然体でいこうと思えるようになります。何度か読み直して見たい本です。

投稿: | 2005.05.26 15:11

涼さん、先ほどはお名前を間違えまして、申し訳ありません。うっかり者で、すみません。

投稿: ビアンカ | 2005.05.26 16:07

いえいえ、慌て者では人後に落ちませんのでご心配なく(威張ることではないですが (^_^;)
今朝は訪問できなかったので、又コメントを下さって嬉しいです。

投稿: 涼>ビアンカさんへ | 2005.05.26 22:54

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» 『ひとを<嫌う>ということ』(中島義道) [葉桜日記]
 ビアンカさんと涼さんが記事に書いていらして、興味を持ったので、さっそく図書館か [続きを読む]

受信: 2005.05.26 15:44

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