横山秀夫【動機】
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横山 秀夫〔著〕 出版 文芸春秋(文春文庫) 発売日 2002.11 定価 本体476円 ISBN 4-16-765902-6 bk1で詳しく見る |
警察手帳紛失事件に隠された男たちの矜持を描き、日本推理作家協会賞短編賞を受賞。「陰の季節」でデビューを飾った著者の第二作。
横山秀夫が好きな知人がいる。「一度も読んだことないなぁ。半落ちが文庫になったら買おう」といった会話をしていたのだが……
同じ著者の「動機」という短編集を紹介しているブログが幾つかあった。面白そうだし文庫だしというので注文したからあらすじなどよく見て、気がついた。既読書だった (-_-;)
とはいえ、タイトルになった「動機」では、肝心の動機が何だったか思い出せなかったし、二作目の「逆転の夏」も細部は殆ど忘れていた。
思い出したきっかけは4作目の「密室の人」のことを読んだからだ。裁判官の失策ということで印象に残っていたのだろう。
著者の作品は警察ものが多いという。みずから「事件記者」だった経験を生かしているのだろうか。
さて、「動機」も「逆転の夏」も、それぞれの家庭事情・過去に屈託を持っている点では似ていると言えよう。どちらも、筋の運びがうまい。
警察という大きな組織の中の小さな亀裂が動機かと見せて、しかし最後には、父の経歴を横糸にしながら人情にもっていく。無骨で頑固な古い型の正義漢は、一世代前のキャラクターかもしれぬが、時を超えて求められているのやもしれぬ。
折しも明日は父の日。
謹厳実直な父に育てられた息子(動機)と、あくまでも娘を愛した父親(逆転の夏)の対比でもある。
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「動機」横山秀夫
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コメント
コメント & TB ありがとうございました。
どれも好きな作品で甲乙つけ難いのですが、強いて選ぶとするなら 『動機』 でしょうか。
投稿: かっけー | 2005.06.20 01:04
かっけーさん、お早うございます。
仕事への矜恃を描いて秀逸というか、やはり「動機」がイチオシですね。
古いかもしれませんが、こういう男達って魅力がありますね。
投稿: 涼 | 2005.06.20 08:38