貴志祐介【青の炎】
青の炎 | ![]() | 貴志 祐介〔著〕 出版社 角川書店 (角川文庫) 発売日 2004.08 価格 本体 667円 ISBN 4-04-197906-4 bk1で詳しく見る |
ここで紹介している表紙カバーは親本と同じだが、購入した本は二宮和也の写真だった。
こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために、氷のように冷たい殺意を抱いて…。
物語は、自転車で始まり自転車で終わる。
この本が、京都であった少年事件の引き金になったと聞いたことがあったのでちょっとした先入観があった。しかし、最後の部分以外は取り立てて似ているところはない。
「青の炎」をBK1で検索すると、4冊の本が紹介されている。親本と、今回読んだ文庫本。その他に蜷川幸雄氏の「青の炎」シナリオブック と、西村彩子氏の「青の炎」二宮和也写真集。
あの蜷川幸雄氏が監督して映画になっていたのだ。音楽は東儀秀樹氏。秀一役が二宮和也というアイドルで、紀子役・遥香役もアイドル。
脇役がスゴイ。母親友子が秋吉久美子、刑事が中村梅雀。曾根隆司を演じているのが山本寛斎氏。同名異人かと思ったが、コメントにはちゃんと「私は、ファッションデザイナーとして認知されていますが、……」とある。
あらすじを読んでも、原作とそう離れていないような印象を受ける。DVDもあるが、見ないだろう。
秀一にとって、この選択しか無かったのだろうか。あまりにも切なく、救いがない。
関連記事:「青の炎」の母親像(24日)
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コメント
涼さん、こんばんわ。
へいぽーも、青の炎は文庫で読みました。
更に、映画も観ました。
映画は、さておきまして・・・・
文庫のほうは、へいぽーは、秀一の気持ちがわかるような気がします。
へいぽーも読み終わって後味が悪かったのを覚えています。
投稿: へいぽー | 2005.08.20 22:00
へいぽーさん、
∥読み終わって後味が悪かったのを覚えています。
これがどこから来るのかと考えたのですが。勿論前提を覆すと物語が成り立ちませんから仕方ないですが。
涼は、母親に不満です。秀一が苦悩しているのはわかっているのだから、最初のいきさつはともかく、子ども達を信じて(遥香はショックを乗り越えるだろうといったことも含めて)、一緒に相談して もっと毅然とした態度を取れなかったのでしょうかね。
やはりどこかで、母親よりも「女の部分」を優先していたのではないかという気がします。
投稿: 涼 | 2005.08.20 23:59
こんばんわ。
そうですよね、母親って子供にとって
常に愛情のバロメーターであるので
子供心を複雑にしてしまった母親の態度は
正直、嫌だなと思いました。
殺人、秀一の中では正しいことだったんですよね。
でも、それが世の中では犯罪となり悪いことである。
その二つの感情の中で葛藤をしてしまった。
母親や妹の今後を考えた結果なんだろうと思うけど
それにしても、選ぶ道がとっさ過ぎたかなと思います。
投稿: へいぽー | 2005.08.21 17:11
へいぽーさん
∥それにしても、選ぶ道がとっさ過ぎたかなと思います。
何か一つことを考えると、他のことに考えが行かないってこと、ありますよね。
子どもがそういう時こそ、母親はうまくリードしてやる必要があるのではないでしょうか。
「心配している」というのも、遥香のセリフで出てくるだけでしょ。
放っておいても余命幾ばくもなかったというのが後で判るなんて、あまりにも残酷すぎます。母親は知っていた、あるいは知ることが出来たのではないかという気もします。
投稿: 涼 | 2005.08.22 00:29
涼さん、こんにちは。
私は、この本は、せつないとは思えませんでした。ただの愚かな人間の転落物語にしか思えません。
おっしゃる通り、秀一には、ほかの選択がありました。突き進んでいったのは、未熟さと傲慢さからです。秀一って、すごく傲慢な人間だと思いませんか? 彼女に対する見方が偉そうで、私は不快でした。
でも、若者特有の未熟さと傲慢さなので、嫌いにはなれないんですけどね…。10年後には少し違う人間になれたのではと思うと、気の毒です。
気持ちがわかるかというと、秀一の気持ちはわかります。自分も高校生の頃には、未熟でした。でも、あまりに未熟なので、いらいらします。
母親は、単に受動的な人間だっただけだと思います。話し合うとか、男を追い出すとか、能動的な行動ができないのでしょう。そういう母親だからこそ、秀一が「自分が家族を守る」という傲慢さを育ててしまったのでしょうね。
投稿: meka | 2005.08.24 07:50
mekaさん、お早うございます。
確かに仰有るとおり、傲慢ですね。あの第二の犠牲になる友人(今手元に本がないので名前を失念)が「何時も見下していた」と言った通りです。
∥母親は、単に受動的な人間だっただけだと思います。
それも言えるでしょうね。でも独創的なアイデアを持ってそこそこ収入を得ることが出来るという事は、単にオロオロしている女とは違うと思うのね。それが、ヒョッとしたら計画的?と書いた理由かもしれません(ま、これは当たってないでしょうが)。
でも、母親って、子どもに対してはもっと動物的に(というか本能的に)なれるのじゃないかなという気もしたのです。
こちらからも、トラックバックさせていただきました。
投稿: 涼 | 2005.08.24 08:55