【ある閉ざされた雪の山荘で】
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東野圭吾〔著〕 出版 講談社(講談社文庫) 発売日 1996.1 定価 \560 (本体 : \533) ISBN 4-06-185909-9 bk1で詳しく見る |
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した若き男女七名。これから雪に閉ざされ孤立した山荘での殺人劇が始まる。一人また一人と消えていく現実は芝居なのか。一度限りの大技が読者を直撃。
二重どころか三重に張られたどんでん返しの結末である。
物語は、第三者的な語りと、登場人物の一人久我和幸のモノローグですすんでいく。途中で、これは芝居だろうとは気づくが、殺人現場を忠実に描いているところに、著者の意図があったのだ。戯曲とまではいかないが、語り部分は丁度舞台を見ているような感覚になり、これが最後に謎解きとなる。
結果としては殺人はなかったのだが、麻倉雅美は救われないだろうか。だが著者は、雅美を追い込んだ3人が芝居を止めて何か雅美のためにしたいと言ったとき、彼女にこう言わせている。(以下、白文字→マウスで四角の中をなぞると文字が現れます)
「だって」と麻倉雅美は言った。「まずはあたし自身が、自分に出来ることを探さなきゃいけないんだもの。せっかく殺人犯にならずに済んだのだから」
ある閉ざされた雪の山荘で
1996年1月15日第1刷発行
2006年2月1日第32刷発行
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コメント
東野圭吾の作品は、読後になんともやり切れない思いになることが多いような印象があるのですが、この作品は希望のようなものが見えますよね。
楽しく読めた作品です。
TBさせていただきました。
投稿: Mana | 2006.03.01 22:11
思い出しました。Manaさんの記事を拝見して、この本を注文したのだわ。
こちらからも、トラックバックさせていただきました。
今日「容疑者Xの献身」を本屋で見ていました。買いたかったけど、単行本は高いし嵩張るし。文庫化を待ちます。
投稿: 涼 | 2006.03.02 00:42