連城三紀彦【戻り川心中】
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連城三紀彦〔著〕 出版 光文社(光文社文庫)傑作推理小説 発売日 1996.4 定価 \560 (本体 : \533) ISBN 4-334-74000-6 bk1で詳しく見る |
ずっと読みたいと思っていた、20年以上前に読んだ「戻り川心中」。
当時読んだ本に収録されていたものとは、表題作以外は全部入れ替わっている。底本は講談社の1983年刊行のものだというが。
連城三紀彦は、結末をひとひねりするだけでなく更に読者を裏切る名手だ。
本書はいずれも一人称語りでの、従って探偵役もその語り手が勤めている。いずれも花にまつわる話で、時代は大正末期から戦争直後くらいまで。
いずれの作品にも、どこか退廃的なムードが漂っている。
「藤の香」「桔梗の宿」のいずれも、薄幸の女性を描く。しかし形を換えこそすれ、現在にも全くないとはいえない話だ。
一つ違いの二人の子ども。片方が死ぬ。子どもの入れ替え。
これは、篠田真由美も書いている。
一人を亡くしているだけに、母親の残った子どもへの愛が、儚げで危うい感を受ける「白蓮の寺」
そして最後が「戻り川心中」。あの、語り手が真相を知るところを確かめたくて再読したと言っていい。
童謡殺人なら、既に三十年前、苑田自身の手でおこなわれてしまっているのである。菖蒲心中の歌自体が既に童謡殺人だったのだ。歌を作って、その歌に合わせた現実を展開させる。その為の小道具としての菖蒲が生きている。
表紙絵も、白と紫の2輪の菖蒲だった。
戻り川心中
2006年1月20日初版1刷発行
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