◆クイーン【Xの悲劇】
エラリー・クイーン〔著〕鮎川信夫〔訳〕 出版 東京創元社(創元推理文庫) 発売日 1992 定価 \651 (本体 : \620) ISBN 4-488-10401-0 bk1で詳しく見る |
降りしきる雨の日、第一の殺人は起きた。続いて第二、第三の悲劇が…。殺害された人物をつなぐものは何か? 事件の裏にひそむ驚きの真相に、元俳優の探偵、ドルリー・レーンが挑む。エラリー・クイーンの代表作。(ポプラ社文庫版「内容説明」)
細かい内容はまったく覚えていなかったが、文字通り事件のカギとなりタイトルの所以にもなった[X]がダイニングメッセージであることに違和感を持ったことは覚えている。
日本の多くのミステリー作家が魅了された「Yの悲劇」を読むつもりで、だがどうせならとこれから取りかかることに。これは徹也が残した本。おそらく有栖川有栖氏のものを読んでからの購入だろう。
警察が解決できない事件を、元シェイクスピア俳優レーンが見事に解くというシリーズの第一弾。
この時代がかった住居に住み、時代がかった扮装と行動をするレーンを、最初は信用していなかった警察連中が、次第に信頼を寄せていくのは、よくある設定。
物語の筋とは別に、シェイクスピアのセリフが散見するのは楽しい。また、レーンの演劇論も傾聴に値する。
レーンの身体描写、特に声に関しては前回読んだときあまり注意を払っていなかった。その声を、自らは聞くことが出来ない。そしてそのことが「最後の悲劇」へと繫がっていくのだが。
本書は、(二人が一人として有名になった)エラリー・クイーンがバーナビー・ロスという別名で書いたもの。クイーンが二人であることも隠されていたから、二重のベールに包まれていたことになる。二人でクイーンとロスの役を演じて論陣を張ったこともあったという。
なんといっても、エリザベス朝時代の芝居は、数十年ものあいだ、人生の幻影を作り出すために、脚本と役者の身ぶりによっていたのだ。どんな芝居も裸の舞台にのせられた――端役がひとり、木の枝を一本持って舞台をそっと歩くだけで、バーナムの森がダンシネーンにやってくるのだということを表すのに充分だった。
ああ、こういうのを読むとゾクゾクしてくる。
Xの悲劇 1960年2月12日初版
1970年10月16日26版(新版)
2001年1月12日97版
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