落花の雪に踏み迷う
母の実家の仏間にかけてあった三葉の写真。戦死した、母の兄と弟二人のものである。
その写真を見ながら移動すると、おじ達の目もついてくる。
朝日新聞夕刊の連載コラム「桜の国で」は、様々な人の桜との関わりを描いていた。
「桜男」と呼ばれた笹部新太郎。その意を汲んで荘川桜を移植した佐野藤右衛門。彼の生涯は、水上勉の「櫻守」に詳しい。
また、本居宣長の「敷島」の歌にも触れている。その本居記念館に保管されている一兵卒竹内浩三の遺品78点。竹内は、「骨のうたう」を残して戦死する。享年23歳。
戦死やあわれ
兵隊の死ぬるやあわれ
遠い他国でひょんと死ぬるや
だまって
だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
桜といえばソメイヨシノと思いがちだが、それはむしろ近世に入ってからの、どちらかと言えば人工的に作り出された桜。古代からの自生の桜は、山桜だろう。
吉川英治の「新平家物語」は、狂言廻し役の夫婦が吉野山で桜を見ているところで終わっていたように記憶している。吉野の桜も、山桜だ。
落花の雪に踏み迷う、片野の春の 桜狩り「太平記」に登場する交野の桜も見事である。これも、時代からして山桜であろうか。
今年は落花盛んな様を見ることなく、桜は雨に散っている。
3年前に息子達と訪れた荘川の桜を見に行きたい。
散る桜、残る桜も散る桜
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コメント
>ひょんと死ぬるや
ああ、かくも死とは突然であまりにあっけなく訪れるものなのでしょうか。
すみません、こちらにコメントをと思いつつそのままになっていました。
本日4/26の「稲泉連【ぼくもいくさに往くのだけれど】」を拝読して、
やはりコメントを差し上げるのはこちらのほうかなと思いつつ・・・
涼さん、もう1度このお話を取り上げてくださり、本当にありがとうございました。
投稿: ぞふぃ | 2006.04.26 16:45
ぞふぃさん
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
これも、哀しいなぁと思うのですが、
残る桜も、また散るのですね。
明日は27日、もう一度関連記事を書いてみます。
投稿: 涼 | 2006.04.26 20:16