【森村誠一の写真俳句のすすめ】
森村誠一〔著〕 出版 スパイス 発売日 2005.12 定価 \1,575 (本体 : \1,500) ISBN 4-902835-09-6 bk1で詳しく見る |
デジカメを手に俳句をひねりながら散歩。俳句になる「予感」が走った光景を撮影…。写真と俳句がそれぞれ相補い、一体となって独特の世界を表現する「写真俳句」という新しい創作世界への誘い。それぞれの作品に解説を付す。
昨日、ブラブラと書店を歩いていて見つけたもの。
森村誠一氏が写真俳句をしていらっしゃるというのは、最近何度か眼にして気になっていた。
著者は、これまで詠んでこられていた俳句に写真を配することによって新しい表現方法を発見されたという。そして、誰にでも写真俳句が出来ると勧めている。
芸術の分野では、受取り手が芸術作品にどんなに感動しても、即自分がそうした作家になれないが、俳句は誰にでも詠むことの出来る芸術だと説き、凡句でも積み重ねによって秀句を収穫出来るようになれると説く。
俳句を詠み始めると、ものの見方が深くなるというのは、本当だと思う。そして、対象をみつめてその一瞬を切り取る予感が生まれるようになる。
この一瞬の予感と、写真を撮るということをドッキングさせたのが、写真俳句である。
それには、携帯に便利で即撮ることの出来るデジカメを持ち歩いて予感を告げる一瞬を切り取り、感じたことを俳句にする。
同じ対象を写し取るのでも、なんだかワクワクして来るではないか。
本書は、花・水・街・食・駅・人・動物・山・空・旅・恋のジャンルに分けて、著者の写真と俳句が掲載されている。
その中の一句。
母と子の一瞬を乗せ水光る
飛騨古川の生活用水を泳いでいる鯉。若い母親が自転車から降りて幼子に鯉を見せている。鯉が泳ぐ水が光った一瞬を切り取った写真と俳句。
俳句は、短い言葉の中に作者の思いが凝縮されているような気がする。短歌が直截に気持ちを歌うのに対して、俳句はやや離れた眼で事象を見つめる。
その客観性が好きである。
さて、この本を読んだからといって、またデジカメを買い換えたからと言って、即写真俳句が出来るわけではないが、ちょっと遊び心をそそられたといってよかろうか。
森村誠一の写真俳句のすすめ
2005年12月1日第1刷発行
2006年3月31日第2刷発行
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