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2006.05.06

【ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する】

ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する ダナ・レオン〔著〕 北条元子〔訳〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2005.4
定価 \940 (本体 : \895)
ISBN  4-06-275062-7
bk1で詳しく見る
イタリア刑事はひと味違う。昼は妻のパスタを楽しむ中年警視ブルネッティ。コネ社会ヴェネツィアで、美人秘書と組み独自の手法で犯罪を追う。(帯より)

始めて読む作家。うたたねねこさんの紹介で知ってずっと読みたいと思っていた。
迂闊なことに、作者が女性だとは解説を読むまで思いもしなかった。おいしそうなランチの紹介といい、秘書の表現といい、あとから納得している。

この秘書というのは、自分のではなく折り合いの悪い上司の秘書。このシリーズのどこかで傷心の出来事があったらしい。しかしそのことは、

この数ヶ月、ブルネッティは、失意のエレットラがまた昔のように目もくらむほどたくさん花を買い、市税の略奪的とも言うべき無駄遣いをしながら、単なる事務所経費だと言い張るようになってくれらばいい、と切に願っていた。(上司の秘書室で窓際に溢れる花や机の上の二ダースを超える黄色いバラを見て思ったこと)
と表現されているに過ぎない。(秘書の悲劇については、解説で明らかになる)

最初単純に見えた事件は、戦争が無関係でなかったことがしだいに解ってくる。ブルネッティの周りの人たちいずれもが、当時の辛い体験を引きずっている。ブルネッティの父にしても岳父にしても、当時の話は自らは口にしようとはしないのだ。
被害者の少女とその祖母(と呼んでいる女性)の描き方に救いがある。

本シリーズでは、帰宅して食す昼食がまた魅力だ。

仕上げにショウガの薄切りを混ぜ込み、パルミジャーノとバターたっぷりのかぼちゃのリゾットに、セージと白ワインでグリルしたチキンのランチ(帯より)


しかし終盤はややもたつき気味だった。
最終部分、警視は犯人に真実を告げる。これは犯人にとって、最後の一撃になっただろうか?


うたたねねこさんの『ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する』読了に、トラックバックをさせていただきました。


ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する
2005年4月15日第1刷発行


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コメント

涼さん、トラックバック&コメントありがとうございました。

そうなんですよね、ダナ・レオンの小説は、とにかく出てくる食ベ物がおいしそうなのが魅力ですよね。昼食のためにいちいち帰宅して、おいしい食事を用意して食べるんですものね、すごいですよね~!

ミステリとしては、少々「?」な部分もあると思うのですが。
涼さんのおっしゃるとおり、終盤はもたつき気味だったり、尻すぼみな感じだったり・・・。でも作者は、ラストをはっきり書かずに、読者の想像にゆだねたいのかな?と勝手に好意的に捉えることにしています(笑)。

投稿: うたたねねこ | 2006.05.07 03:01

うたたねねこさん

順序が逆になりましたが、「ヴェネツィア殺人事件」も購入しました。
余り翻訳されていないようですね。
ちょっとした会話が洒落ていて、もっと読んでみたいシリーズです。
ミステリとしての完成度がもっとあると、更に楽しめるのですが。

投稿: | 2006.05.07 10:13

「ヴェネツィア殺人事件」も購入されたのですね。
順番は関係なく読めると思いますー。登場人物たちのエピソードなどは順番どおりのほうが自然かとは思いますが、どちらにしろ日本ではあまり翻訳されていませんので、全貌は分かりませんものね。

私も古書で「死のフェニーチェ劇場」というのを見つけて買ってあるのですが、もったいなくてまだ読んでいません(笑)。
もっと翻訳されたらうれしいですよね~。

投稿: うたたねねこ | 2006.05.07 17:42

うたたねねこさん

シリーズ物なのに、登場人物についてくどくどと説明してないのが、またいさぎよいです。
「死のフェニーチェ劇場」は、文庫ではないのですね。BK1では取り扱っていないそうです。

あ、BK1といえば、
うたたねねこさんが注文なさっているのを拝見して、注文してしまいました(ポイント等は、抽選だと思っていたのです)。

投稿: | 2006.05.07 19:44

そうなんですよね、「死のフェニーチェ劇場」は文庫になっていないですね。何年も前のサントリーミステリー大賞受賞作らしいのですが・・・あまり売れなかったのでしょうか。

図書館などでは見つけられるのでは?と思いますが、アマゾンのマーケットプレイスでも何点も1円で出品されていました~(なんだか哀しいですね)。ブックオフなどにもあるかもしれませんね。

BK1、先着でも抽選でもなく全員に1000円分プレゼントなんて、なかなか太っ腹ですよね!? 私も、しばらくハードカバーを買うのを我慢しようかと思っていたところだったのに、早速飛びついてしまいました(苦笑)。

投稿: うたたねねこ | 2006.05.09 04:14

うたたねねこさん

無いと思うと余計に読みたくなってきました(笑)
図書館で検索すると、なんと見つかりました。4館に所蔵されていて、誰も借りていません (-_-;)
一気に読める時期を見計らって借りてきますね (^_^)

注文した本は、明日届く予定です。

投稿: | 2006.05.09 16:08

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