浅田次郎【蒼穹の昴 4】
蒼穹の昴 4 | |
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浅田 次郎〔著〕 出版 講談社(講談社文庫) 発売日 2004.10 定価 \620 (本体 : \590) ISBN 4-06-274894-0 bk1で詳しく見る |
歴史物というのは、その事実を踏襲しつつ著者の伝えたいところを膨らませていかねばならないから難しいだろうなと思う。読者は、ついそれを歴史であると勘違いしてしまうこともあろう。
この物語はこれで終わりではない。光端帝や西太后のその後も書かれていない。また、このあと重要な働きをする袁世凱についても、中華民国の誕生についても。
最終部分、牢から逃れ餓死寸前を救われた一家の息子の家庭教師となる王維。その少年は、やがて中国を担って立つ予感を抱かせて、物語は終わる。
この膨大な本を読んで、心打たれたのは、譚嗣同の処刑シーンである。。唯一泣けた場面だ。
それから玲玲は、まるで威儀を正す軍人のように、背筋をまっすぐに伸ばした。小衫の肩は慄え続けていたけれど、奥歯をしっかりと噛みしめて、瞬きもせずに広場を見た。
声が届いたのだろうか。譚嗣同はにっこりと笑い、それから見果てぬ夢を見ようとするあの眩げな瞳を、ゆっくりと青空に向けた――。
余談
愛新覚羅といえば、ラストエンペラー溥儀の弟である溥傑の娘、愛新覚羅慧生の天城山心中を思い出す。
登場人物の会話文が、どうにも馴染めなかった。
蒼穹の昴 4
2004年10月15日初版発行
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