連城三紀彦【嘘は罪】
嘘は罪 | |
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連城三紀彦〔著〕 出版 文芸春秋(文庫) 発売日 2006.6 定価 \660 (本体 : \629) ISBN 4-16-742015-5 bk1で詳しく見る |
電車の中で突然、高価な花束を渡してきた、見知らぬ年下の男の真意は? からみあう愛と憎悪、そして物語はめくるめく結末へ…。表題作ほか、様々な恋模様を鮮やかに切り取った12の短編小説集。
親本は、「夏の最後の薔薇」だったのを、文庫化にあたり改題された。こちらの題の方が、よかったような気がする。
連城三紀彦は、裏切りの名手である。今回も「嘘」と「浮気」をテーマに、12の短編が並ぶ。
最初の「夏の最後の薔薇」が、儚げな若者の気持ちを写しているようだったが。それにしては、携帯電話での話に矛盾がある。
標題になった「嘘は罪」は、二転三転する嘘が技巧的すぎて好感が持てない。
と書きながら読み進めていくうちに、段々食傷気味になってくる。オール読み物に3年越しで連作のように掲載されていたものだけに、その折々に読むにはいいのだろうが、こう続け様に出てくると全体に嘘っぽい話が多いだけに、余り説得力もなく面白いものばかりとは言い難かった。
最後の「雨だれを弾く夏」は、松本清張の「潜在光景」だったかに同じようなテーマのものがあって面白かった。げに、子どもは鋭くそして残酷である。
当初から意図されていたのだろうか?解説でも触れておられたがタイトルの並べ方が面白い。
夏の最後の「薔薇」→「薔薇」色の「嘘」→「嘘」は「罪」→「罪」な「夫婦」→「夫婦」未「満」→「満」天の「星」→「星」「くず」→「くず」れた「鍵」→「鍵」孔の光(ひ「かり」)→仮(「かり」)橋(「はし」)→(「はし」)走り「雨」→「雨」だれを弾く「夏」→「夏」の最後の薔薇
嘘は罪
2006年6月10日第1刷
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