絲山秋子【沖で待つ】
沖で待つ | |
絲山秋子〔著〕 出版 文芸春秋 発売日 2006.2 定価 \1,000 (本体 : \952) ISBN 4-16-324850-1 bk1で詳しく見る |
第134回芥川賞受賞作
仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そんな同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすべく、私は彼の部屋にしのびこむ-。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く表題作のほか、「勤労感謝の日」を収録。
何とも切なくて困った。淡々としかし一生懸命生きて、あっけなく死んでしまった太っちゃん。
導かれるように見納めだと思って死んだ太っちゃんの部屋へ入った[私]は、そこで太っちゃんと会話をする。物語はここから回想シーンとして二人の交流を描いていく。それが、『男女の信頼と友情』であったのか。
俺は沖で待つ小さな船でおまえがやって来るのを 俺は大船だなにも怖くないぞ
亡くなった人たちは、黙って沖で待っていてくれるのだろうか。今は、これ以上書けない。
絲山秋子という名前は、「逃亡くそたわけ」という本を書いた方というくらいの認識しかなかった。名古屋圏の方かなと勝手に推測していたのだが、その方の芥川賞受賞を聞いた時、前回に続いてこういう方が評価されてよかったと思ったような気がする。
著者について朝日新聞BE欄に出ていたことを思いだし、あらためて読んでみる。
「逆風満帆」作家 絲山秋子(上)
「逆風満帆」作家 絲山秋子(中)
「逆風満帆」作家 絲山秋子(下)
本書に同時収録の「勤労感謝の日」は、文句なしに面白かった。
何だか急に、他の作品も読んでみたくなってきた。
沖で待つ
2006年2月25日第1刷発行
2006年5月25日第6刷
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