畠中恵【しゃばけ】
しゃばけ | |
畠中恵〔著〕 出版 新潮社(新潮文庫) 発売日 2004.4 定価 \540 (本体 : \514) ISBN 4-10-146121-X bk1で詳しく見る |
江戸の大店の若だんなで身体が弱くすぐ寝込んでしまう一太郎には、手代に身を替えた犬神・白沢などが身の周りに控えている。ある夜、ひとり歩きをした一太郎は人殺しを目撃して…。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
いきなりの闇である。真っ暗闇である。
薄くて軽そうと、積ん読状態の中から本書を選んで他出。読み始めるまで、どんな本なのかまったく知識なし。
そうだ、takoさんのところで面白そうと思った本だった、と思い出した次第。
それにしても、お江戸の夜は暗い。24時間明るい現代では想像もつかぬ闇であろう。
そして夜ともなれば魑魅魍魎が跋扈するといった話ではないが、妖(あやかし)がまだ人間界のすぐ側で活動している時代だ。
ネタバレになるが、そうした妖と無関係でない大店の若旦那一太郎が、一番困難に出会ったとき、そこから逃げずに自分の力でことを解決する。
逃げたら、体だけでなく、心まで弱くて使いものにならないと、自分で認めなくてはならなくなる。母は自分を授けてほしいと、お百度を踏んだ。祖母はその身と引き換えに、一太郎をこの世に送ってくれた。育ちにくい子どもを、祖父が、父が、手代たちが、友が支えてくれたから、生まれて、今まで生きてこられたのだ。若旦那は、単なるお坊ちゃまではなかった。
「東京時代MAP」を開いてみる。
湯島天神が、筋違御門が、日本橋がある。
辿ればもっと見つかるだろう。地図の上だけだが、お江戸を歩いてみよう。
一太郎の親の店長崎屋は大店であるから、全国から珍しい名物が運ばれてくる。一太郎が友の見舞いに持参したのは、大坂津の清の岩おこしだった。
岩おこし、今でも大阪名物であることは間違いない。
しゃばけ
平成16年4月1日発行
平成17年6月5日9刷
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コメント
涼さんもそちらでお江戸歩いて下さっていたんですね^^
9月とは思えない異常な暑さでした・・。お徒歩オフはもっと涼しい時期にするべきでした^^;;
上方オフもぜひ~~
投稿: 桜桃 | 2006.09.11 23:53
桜桃さん、楽しいオフでよかったですね。
京都やお江戸に比べて、現在書かれているものにはあまり出てこない難波(なにわ)ですが、訪ねるところはたくさんありますね。
投稿: 涼 | 2006.09.12 10:05