◆篠田真由美【月蝕の窓】
月蝕の窓 | |
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篠田真由美〔著〕 出版 講談社(講談社ノベルス) 発売日 2001.8 定価 \1,103 (本体 : \1,050) ISBN 4-06-182194-6 bk1で詳しく見る |
「赤いお月様」は何を語る? 少女の記憶が蘇った時、女たちの悲嘆が宿る「月映荘」でまた惨劇が。容疑は精神的に不安定なその少女に。事件の真相は呪われた館の過去、さらに京介自身の封印された記憶にからみつく。
「京介自身の封印された記憶」とあるが、それらしい思わせぶりな記述はあっても、その過去には触れられていない。どこまで引っ張るのだろうか?
また、出てくる女性は皆(といっても全員という意味ではない)美女で、たおやかで儚げでなければならないのか?この辺り、また彼女たちの表し方にしても、少々食傷気味だ。
そうしたことよりも、今回の犯人は何とも薄気味悪い。勿論どのような犯罪も許されるものではないが、本書の、人の心をもてあそんだ挙げ句、利用された者がそれを修復する手段さえ奪ってしまうとは。
そのあたりも、本書を今一つ好きになれない理由かもしれない。
今回、蒼は再三話題にはなるが、最後まで出てこない。京介は一人になりたかったようだが、やはりそれは無理なようだ。深春は逆に一人旅をすることで、時折リフレッシュできているのかもしれない。
しかし、こうした友人がいるというのは、何とも羨ましい。
この続きが「Ave Maria」かと思ったのだが、その間に「綺羅の柩」が入るようだ。
月蝕の窓
2001年8月5日第1刷発行
2004年3月4日第6刷発行
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