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2006.10.10

◆篠田真由美【聖女の塔】

聖女の塔
聖女の塔 篠田真由美〔著〕
出版  講談社(講談社ノベルス)
発売日 2006.7
定価 \1,019 (本体 : \970)
ISBN   4-06-182496-1
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長崎県の孤島波手島で、女たちが火に焼かれて死んだ。宗教的理由による集団自殺か? 事件性を疑う私立探偵に乞われ、桜井京介は現地へ向かう。その頃蒼はカルト教団に入信したまま戻らぬ友人を救出しようとしていた…。

今朝持って出て、出先で思いがけず待たされたので、結局一日で読んでしまった(もったいない)。

前回の失楽の街と本書との間に胡蝶の鏡が入る。


あまり後味がいいとは言えない。
どうも輪王寺綾乃が登場した頃から、このシリーズがどんどん変な方向へ行っているような気がする。綾乃と関係ある松浦は、まだしつこく京介を追う。それも、手段を選ばず。
ホームズに於けるモリアーティ教授のような存在か。ホームズも、一度は命を落とした(ことになっている)。

あとがきによると、本書はシリーズ12作目で、あと3作で終わりになるという。次作でシリーズとしては完結し、あとは京介のことに触れて終わるらしい。

どんな探偵ものも年を経て終焉を迎えるわけだが、非常に寂しい思いがする。一年一作のようだから次回は来年ということになる。最終作はさらに二年後か。


本書の最後の場面など、蒼が京介のところへ来た頃と変わりないようだ。そのまま大きくならずに、京介達も学生のままでずっとシリーズとして続いてほしかったような気もしないではないが。

2004年8月に「未明の家」をアップしてから、京介達について書くのも丸二年に及んでしまった。
最初の頃は、それでも随分と明るい場面もあったような気がする。勿論その頃は、蒼の過去ははっきりとは判らなかったが、それでも神代教授を中心とした一風変わった「家族」が形成されていたような気がする。

神代教授も、「失楽の街」ではお年を召された。
京介も深春も、三十路を迎えた。蒼も成人した。

やはり淋しい。


聖女の塔
2006年7月10日第1刷発行


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