映像よりも文字
朝刊の広告特集。
書物はなぜ大切なのかを、本の虫児玉清さんが語っている。
人の生き方、物事の深さなどを知り考える想像力は、どのように養われるか。それは小説やフィクションを読むことによって自分の内に育っていくものだと思うのです。自分が体験しようもない世界があることを小説は教えてくれるという。
今これを書きながら、遠藤周作さんも同じようなことを書いていらっしゃったなと思い出した。「他人になれる悦び」という一文であった。
なぜ今これを書いているかというと、先日見たドラマ「クライマーズ・ハイ」は非常に面白かったのだが、原作をかなり忠実になぞっているがゆえに、心理描写でやや物足りなかったからだ。
悠木の息子は、なぜ父を避けるのか。映像からだけでは判らない。悠木が息子を殴ったのは、息子が不適切な言葉を吐いたからのように、受け取れる。
悠木は、自身の生い立ちから、子供たちへの接し方を模索していた。
また、職を失うかもしれない悠木の恐怖も、表情からだけで窺うのはかなり難しい。
今回はキャストがよかったと思うが、本を読んでから映像を見ると、かなりイメージが違うことも珍しくない。
児玉さんは言う。
映像のほうが強烈で印象が強いと考えがちですが、映像というのは受け身で楽しむもので、例えば主人公のイメージや表現も映像の作り手が決定し、私たちはそれをそのまま受け入れて鑑賞して終わりですね。活字は違います。自分で物語を取り込み、想像し、自身の映像を作り上げながらそれを深く体験することになる。
だから自分は、映画を見るよりは本を読む方が好きなのだなと思う。
決して映像を否定しているわけではなく(むしろ、映画は好きだ)、違うものと割り切って考えるといいのかもしれない。
自分たちが届けているのは、耳で読書する方達が、ご自身でイメージできる原作だ。読み手が自分の感情を押し付けるのではなく、読者に存分に読書の世界に浸っていただくことが、出来ているだろうか。
10月26日・27日は、全国図書館大会が岡山である。
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