灰谷健次郎【ろくべえまってろよ】
ろくべえまってろよ | |
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灰谷健次郎〔著〕 出版 新潮社(新潮文庫) 発売日 1987.1 定価 \540 (本体 : \514) ISBN 4-10-133105- bk1で詳しく見る |
画は、角川文庫のもの(リンクも)。ISBN:4-04-352003-4
表題作を始めとした短編集。それぞれ独立した絵本として刊行されていた。「ろくべえまってろよ」は、文研出版から、長新太さん挿絵の絵本として出ている。ISBN:4-580-81393-6
こどもたちも、見守る大人も、教師も、それぞれが心を通わせていると思われる。
表題作「ろくべえまってろよ」は、穴に落ちた犬のろくべえを小学校低学年のこどもたちが知恵を出し合って救う話。
次の「マコチン」「マコチンとマコタン」は兄弟。
風邪でお休みしたとよこ先生に手紙を書き、チョコレートを買って先生の家まで一生懸命あるいてお見舞いに行く。
まこと君は、とよこ先生をにらみつけて、チョコレートと手紙をつき出しました。にらみつけなければ、なみだがぽろっと落ちてきそうだったんです。
そんなまこと君を、はだしでかけよったとよこ先生は抱きしめて背中に一字ずつ「う・れ・し・い」と書く。
一年生になって55日間もママと一緒に学校へ来ていたぼく(しゅんすけ)。
クラスの勝ち抜き相撲で優勝するななちゃんという女の子。
「なな。よそ見をするな」と叱られたななちゃんは、作文を早く書き上げてふくれている。その作文には
うち
これを読んだのじ先生は、頭をかきながら『なな、かんにんな』と言うが、ななちゃんはつんつうんしている。これは地の文もボクの語りで全部関西弁になっている。
もう先生きらいや
うち
今日目玉が飛び出るぐらい
はらがたったで
うち
しゅんちゃんに
親切に教えてあげていたんやで
うち
よそ見なんかしていなかったんやで
先生でも、手ついて
「ななちゃんかんにんしてください」
とゆうてあやまり
こんなななちゃんが色々な宝物を入れている箱がある。級友にケチと言われても、それをくれない。しかしのじ先生は、ななちゃんが入院している弟への見舞いにもっていくものを貯めているのだと知っている。
ななちゃんはボクにだけ、その宝物をくれる。
これは「なんやななちゃんなきべそしゅんちゃん」
といった話が全部で八編。
ここに登場するお父さんもお母さんも先生たちも、みんな子供たちを愛している。大事にしている。子どもたちはそれを充分わかって、ヤンチャをしたり、甘えているのだ。
ろくべえまってろよ
平成62年1月25日発行
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