◆宮部みゆき【名もなき毒】
名もなき毒 | |
宮部みゆき〔著〕 出版 幻冬舎 発売日 2006.8 定価 \1,890 (本体 : \1,800) ISBN 4-344-01214-3 bk1で詳しく見る |
あらゆる場所に「毒」は潜む-。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎が、私立探偵・北見を訪れて出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。現代ミステリー。
読了後日が経ってしまってので、細部があやふやになっている。
ごく普通の市井の人たちが出遭う災難を描いた、先の「誰か」と同じく、財閥の女婿杉村が探偵役(あるいは道化役)の第二作。どうやらシリーズになりそうだが。
「誰か」と同じく、スッキリしない終わり方だった。
途中、「宮部さんの終わり方は好きだ」と思いつつ、「魔術はささやく」の『家へ帰るのさ』という守の言葉や、「火車」の手を置いたところの最終部分を思い出していた。そして、「誰か」の最終部分は桃子の愛らしさが救いだったが、今回は杉村の不安定さを露呈して終わってしまった。
本書は、連続無差別毒殺事件の被害者達と彼女たちの闇の部分と並行して、虚言癖をもつ元部下に魅入られてしまった、杉村自身の悲劇を描く。
それにしても、この原田いずみの執拗さには、胸が悪くなる。
最後が偶然に頼りすぎているのも、今一つな感がある。宮部さんは、都合が悪くなったら謎の人物が助けに現れたり、竜巻が起こったりしてはいけないのだ。
(超能力ものは別)
別の意味で少々辛口の読み方をしてしまいましたが、Tompeiさんの『名もなき毒』(宮部みゆき)に、トラックバックさせていただきました。
08年5月25日追記
本屋大賞2007の10位だった。
名もなき毒
2006年8月25日第1刷発行
2006年10月10日第1刷発行
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コメント
TBありがとうございます。
だいぶ前に読んだので、すでに細部は忘却の彼方。本も手放してしまいました。
『火車』級の現代ミステリーをまた読みたいですね。宮部さんにはつい期待が大きくなります。ファンというものはわがままなのです。
投稿: Tompei | 2006.11.30 08:52
Tompeiさん
そうなんですよ。
どうも「火車」「理由」以降、好きだなという作品にあまりお目にかかっていないような気がしています。
好きな方だけに、力のこもった作品を読みたいです。
投稿: 涼 | 2006.11.30 12:10