あさのあつこ【バッテリー】
バッテリー | |
あさの あつこ〔著〕 出版 角川書店(角川文庫) 発売日 2003.12 定価 \540 (本体 : \514) ISBN 4-04-372101-3 bk1で詳しく見る |
そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。子どもだとか小学生だとか中学生だとか、関係ないこと全部すてて、おれの球だけを見ろよ。多感な時期を野球に明け暮れてすごす少年たちを、生き生きと描き出す。
シリーズ第一弾。
原田巧は、小学校を卒業するとすぐ、父の転勤で父母の故郷である新田市に超してくる。そこには、母方の祖父が独りで住んでいる。彼は長く高校野球の監督を務め、甲子園へも連れて行っている。
巧の父母、弟青波や近所の子供たち。中学へ入ってバッテリーを組むであろう永倉豪。
登場人物が、的確に描かれていく。
父母と祖父との事情。父の葛藤。父母に対する巧の接し方。。おそらくはあったであろう、病弱な弟青波への思い。
今、巧は、ここでの第一歩を記そうとしている。
親本は、平成8年(1996年)12月に刊行された。それから10年経った。
文庫化にあたっての、著者の解説より。
(親本刊行から文庫化までの)7年間に10代の少年たちの凶悪犯罪が次々と報じられ、メディアの俎上に上るようになった。十代の息子達を持つ著者は、そうした渦の中で、未熟ながらもまだ若かった感性が、微かな異議を唱えたのだという。そして
だから、書きたかった。と続ける。
自分を信じ、結果のすべてを引き受ける。そういう生き方しかできない少年をこの手で、書ききってみたかった。そういう少年を学校体育という場に放り込んでみたかった。
この巧を見ていて、自分と似ているところが多いことに苦笑している。誰にも相談せず、物事を決めてしまうところ。結果は受け入れると粋がってみせるところも。
恐らく十代の頃の自分は、大人にとって御しがたい子どもだったことだろう。
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バッテリー
平成15年12月25日 初版発行
平成17年12月20日 28刷発行
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