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2007.01.14

連城三紀彦【暗色コメディ】

暗色コメディ
連城三紀彦〔著〕
出版  文藝春秋(文春文庫)
発売日 2001.1
定価 \700 (本体 : \667)
ISBN  4-16-742014-7
bk1で詳しく見る

目の前で夫が他の女と消えた。自分は自分か、もう一人の自分が自分を殺しに来るのではと怯える古屋羊子。
書けなくなった画家の碧川 。自殺の手段にしようとしたダンプカーも、燃える山も、消えてしまった 。
妻が自分の初七日から帰ってきた。仏壇には自分が祀られている、鞍田 。
妻がいつの間にか別人になってしまった外科医高橋。
ずぶ濡れの女が診察に訪れた精神科の藤堂病院。
これらが、序章で登場する。

第一部は、彼らとその家族の奇妙な生活が描かれていく。4人とも、藤堂病院の波島の患者となる。事件は起きたようで起きない、第一部の最後で形を取るまでは。

この章を読んでいるとき、何とも言えぬ気持ちになっていった。もしかしたら精神に狂いを生じているのは、読んでいる自分ではないのか?もうすぐ何か言いだすのではないかといった恐怖にとらわれてくる。

そして第二部では、白骨化した死体が発見され、病院からは人が消える。
第二部の終わり近く、車や山、そして人が消えた謎が探偵役によって明かされる。

だが、終章でのどんでん返しが待っている。

いずれも、ちょっとした家庭生活のすれ違いが、自殺願望ながら生への執着が、過去の忌まわしい体験が、これらの事件を起こしている。
しかしそれらは偶発的に起きたのではなかった。犯人によって巧みに組み立てられたものだった。
だがそれにしては、事件そのものは偶然に頼っているようだ。
また高橋の妻由紀子に関しての高橋の姉の娘の観察については矛盾を感じるが。


本書は、連城三紀彦のごく初期の作品のようだ。初版が出たのは30年近く昔である。
いつもの(その後の?)著者らしくないところも多いが、逆転劇の巧みさはこの頃からあったのだろう。

有栖川有栖氏の解説が面白い。まさに「眩暈と地獄」を味わうことになる。

それにしても、コメディとはなぁ!


暗色コメディ
2003年6月10日第1刷


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