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2007.01.05

S・J・ローザン【春を待つ谷間で】

春を待つ谷間で
春を待つ谷間で Rozan S.J.[著]直良 和美[訳]
出版 東京創元社(創元推理文庫 )
発売日 2005.8
定価  \1,050(本体 : \1,000)
ISBN  4-488-15307-0
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シリーズ第六作、ビル・スミス編。
今回はマンハッタンを離れて、ビルが時折過ごす山小屋のある町が舞台だ。

冒頭、そこへ向かうビルの車にかかっているのは、内田光子が弾くモーツァルトのピアノソナタ変ロ長調。第二作の「ピアノ・ソナタ」でもそうだったが、ビルはいかつい外見に似合わず、ピアノをよくする。山小屋にもキチンと調律させたピアノを置いている。

ニューヨークにまで電話がかかってきた依頼を受けるかどうか迷いつつの出発だったが、結局は引き受ける。その途端、今度は行きつけの飲み屋でならず者とのトラブル。そして、その地下室でならず者の一人の死体が発見される。容疑者は、飲み屋の弟。

そこに、ならずものを追いかけながら決め手を欠いている保安官、ビルの山小屋そばの川で釣りを楽しむ州警察の主席捜査官、更には地元ボスである企業の経営者などが絡んでくる。

厳しい自然と、だからこそ春の萌しをいち早く捉えることの出来る感性。アクション仕立てのハードボイルドではあるが、ビルの描写と同じく著者の視線は暖かく人々を活写する。兄弟愛やビルと捜査官の友情の描き方も、その一つだ。
また、依頼人の描写と訪問者には慣れない飼い犬とビルの交流もいい。

ますます楽しみなシリーズである。


春を待つ谷間で
2005年8月31日初版


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