井上靖【風林火山】
風林火山 | |
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井上 靖〔著〕 出版 新潮社(新潮文庫) 発売日 2005.11 定価 \540 (本体 : \514) ISBN 4-10-106307-9 bk1で詳しく見る |
信玄への仇討ちを誓う由布姫と、姫への思慕を胸に川中島の決戦に散りゆく山本勘助。井上文学の金字塔にして、戦国ロマン大河の決定版。2007年NHK大河ドラマ原作。
随分昔読んだものの、再読。大河ドラマの原作だからというわけではないが、勘助と由布姫の物語を何となく読み直したくなったもの。おそらく、テレビの勘助像や由布姫像とは隔たっているだろう。
勘助の容姿を表現する描写に、いささか驚く。
本書は、人物が生き生きと描かれている。読みながら、その光景をはっきりと目に浮かべることが出来る。
しかしながら物語は徹頭徹尾勘助の立場から描かれている。
甲・遠・駿の三すくみ婚姻関係も、謙信が上杉を名乗るようになったことも、サラッと述べるにとどめてある。
策士としての勘助登場から、謙信に作戦を読まれ命を落とすまで、勝頼の誕生や由布姫の死を挟んで意外と狭い範囲での物語展開である。
勘助の由布姫への思慕は、いじらしいものがある。
合戦を控えての陣中の描写など、「額田王」と似通ったところもあるなぁと変な感心の仕方をしてしまった。
また、ふとこの小説は現代小説としても通じるなとも思いながら読んでいたが、解説氏の言葉に納得した。
井上氏は『風林火山』の戦国時代を我々の周囲に展開させて見せるのに、これも現代を小説で扱う場合と同じであるが、人物を登場させてこれに行動させるという方法を取っている。
親本が刊行されたのは、昭和30年(1955年)だという。
風林火山
昭和33年12月5日発行
平成17年11月20日80刷改版
平成18年12月20日88刷
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コメント
実は「幼少よりずっと大河を観続けているいるぞふぃです。(記憶に残るのは「新平家物語」―72年放映当時小2―からでしょうか)
でもここのところ秋ぐらいからどうでもよくなってしまい最終回まで気合を入れて観られる作品が少なくなってしまったような・・・
単に私が年をとっただけなのかもしれませんがね(苦笑)。
今回の「風林火山」は今のところは、待ちかねて観ている状態です。と言ってもまだ2月ですしね。
現在、由布姫(新人柴本幸)の登場が待ち遠しいような怖いような気がしております。
投稿: ぞふぃ | 2007.02.22 12:45
ぞふぃさん、こんばんは。最近は(もう10年くらいかな)さっぱり大河を見なくなっている涼です。
「新平家」ですか。今思い出してもすごい配役陣でしたね。
なぜか、蜷川幸雄の西行を覚えています。
∥由布姫(新人柴本幸)の登場が待ち遠しいような怖いような気がしております
大河を見なくなったのは、セリフのヘタさにうんざりということもあるのです。
美人でも、喋ったら台なしだという女優も多いですから。
さて、今回の由布姫やいかに!
投稿: 涼 | 2007.02.22 21:36