佐野洋【蝉の誤解】
| 蝉の誤解 | |
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佐野 洋〔著〕 出版 光文社(光文社文庫) 発売日 2006.2 定価 \560 (本体 : \533) ISBN 4-334-74019-7 |
犯罪を犯す人間の実相を「虫の生態」にからめて描いた「カマキリの本音」「蟻のおしゃべり」「蠅の美学」「蝉の誤解」等々、短編の名手が贈る珠玉の連作ミステリー9編!
ノベルズ版の表紙絵は、ズバリ蝉を淡彩画風に描いたものだが、文庫版はエッシャー風の階段上に卵のようなものや、うずくまる男、歩く女などが描かれている。
9編の短編は、いずれも昆虫にまつわる話である。と同時に解説氏の指摘するように、「タフでちょっとワルでもある女」が登場する。
蝿を知らない子どもたちがいるとは驚きだが、おそらくチビさん達も蝿を見たことはなかろう。
夫と妻、4年生の息子がそれぞれの思いを抱きながらも、本音と建て前を使い分けている『カマキリの本音』は、ある意味恐ろしい。
昆虫のあるものは、場所だけでなく時間も「棲み分け」をしているらしい。それを利用したつもりが、人間は昆虫ほどうまく棲み分けられなかった『ミドリシジミの知恵』。
表題作『蝉の誤解』は、幼い頃の体験がトラウマとなって蝉の抜け殻が恐怖の対象になる主婦の話。思いがけないドロドロした人間関係が浮き上がってくる。
『飼われた蜻蛉』は、何不自由なく育った女性がちょっとしたアバンチュールを試みるが、実は夫も同じ考えであったことを知って、むしろサバサバとするという話。
「父よ父よ」と鳴くという蓑虫の生態が面白かった『蓑虫の計算』。
蓑虫で作ったハンドバッグの話は聞いたことがある。これもゲテモノ趣味といえるだろうか。
『蚊の証言』に出てくる女は、本当に怖い。彼女は、むしろカマキリかもしれない。
1000編を超える短編を発表している著者は、まだまだ健在だった。
関連記事:佐野洋【10番打者】
蝉の誤解
2006年2月20日初版第1刷発行
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