松本清張【途上】
松本清張初文庫化作品集 3 途上 | |
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松本 清張〔著〕 細谷 正充〔編〕 出版 双葉社(双葉文庫) 発売日 2006.2 定価 \580 (本体 : \552) ISBN 4-575-51058-0 |
「紙碑」「途上」「老十九年の推歩」「夏島」「信号」の五編を収録。
比較的地味な作品ばかりだ。
「紙碑」は、画家の夫が亡くなって再婚した妻が、亡き夫が美術大辞典に収録されることを望む話。現在の夫には内緒だというのが不幸である。意識せずして二人を比べてしまっている。
「老十九年の推歩」は、伊能忠敬の一生を描く。入り婿として老舗の醤油屋を持ち直した忠敬が、50歳を超えてから諸国を歩き地図を作り上げた。著者の推論も交えつつ、丹念にその足跡を辿る。
「夏島」も、いわば歴史物に入ろうか。
明治憲法が練られたという「夏島」という場所を訪れた著者が、憲法発布前にその一部が漏洩したことに対して、面白い推論を立てている。
一部が漏れて内容に反発を買うことにより、実際に公布されたときの反対を抑えようとした策略だというのだ。一年前に部分的に知って起こった反対運動が慣れによって持続しないことを狙ったのだという。
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