瀬尾まいこ【幸福な食卓】
幸福な食卓 | |
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瀬尾まいこ〔著〕 出版 講談社(講談社文庫) 発売日 2007.6 定価 \520 (本体 : \495) ISBN 4-06-275650-1 |
父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも、朝は普通にやってきた。そして、その悲しい出来事のあとも…。とても切なくて、ちょっとおかしくてあたたまる、心にふわりと響く長編小説。
前回の「温室デイズ」のような本だったら嫌だなと思いながら持って出た本書だが、途中までは楽しく読めた。
「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」 春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。という、やや衝撃的な書き出しで始まる本書は、高校二年生の冬休みの最後の日までを連作という形で綴っていく連作小説だ。
それまで家庭・食事といったルールをごく普通にこなしてきた家族は、父さんのこの一言で変わるのか?変わったのか?
主人公佐和子が塾で知り合った他校のちょっと変わった中学生と親しくなり、やがて恋人となっていく。
しかし、その彼との別れが突然やってきて、ここで物語は劇的な展開を見せる。
落ち込んでいる佐和子を、兄直ちゃんの恋人ヨシコは、必死に力づけようとする。
「あのさ、言葉悪いけどさ、恋人はいくらでもできるよ。もちろん、今、そんなこと言うの最悪だってわかってる。でもね、そうだよ。恋人も友達も何とかなるよ。(中略) でも、家族はそういうわけにはいかないでしょう?お兄ちゃんの代わりもお父さんの代わりもあんたの力ではどうすることもできないじゃん」その通りだ。生き残った恋人が新しい恋人を見つけて立ち直っても、家族を亡くして残された者たちは、身を寄せ合って思い出に生きていくしかない。
結局これまでと変わりたかった父さんは、同じ教えるという仕事を選び、家を出ていた母さんも戻ってくるらしい展開を見せて、この本は終わる。
兄直ちゃんが作ってくれる料理が、みんなおいしそうだ。
この方の本は、映像化されてもあまり違和感がないのではという気がする。実際本書も映画化されているようで、解説氏いわく楽しめる映画にしあがっているということだ。
幸福な食卓
2007年6月15日第1刷発行
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