西村京太郎【北斗1号殺人事件】
北斗1号殺人事件 | |
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連休中の旅行、往路で読んだもの。「北斗1号」と書いて、「」と読ませている。
この9月14日発行の新刊ではあるが、1987年10月光文社ノベルスで、1990年には光文社文庫として出ていたもの。
冒頭、
函館の町も、駅も、まだ眠っているようだった。で、始まっている。
風見ゆう子は、ぼんやりと、近づいてくる桟橋を眺めていた。
青森を出た青函連絡船が、函館へ着く光景である。
東京で借金の保証人になった恋人に去られ、借財を背負ったまま死を求めて北へ旅してきた「第一章 風見ゆう子」の話から始まる。
八章立ての本書は、五つの章までが関係者の名前で占められている。読みながら、これは十津川警部の話ではなかったのかと思ったが、彼は東京での事件も関連する途中から登場してくる。
連絡船で身を投げ損ねたゆう子が北海道で乗ったのが「北斗1号」だが、ここでは事件は起きない。
そこでゆう子が不思議な青年から100万円を貰うことから、話はやや現実味が薄くなる。
次に登場する北海道の列車は、「ライラック13号」。ここで、事件が起こる。
しかしかなり偶然に頼った展開で、ミステリーとしての面白さには ややかけるが、流氷の描写など旅情を誘われる部分は多い。
最初の出版から20年経過して再出版されたということは、いわゆるトラベルミステリーを体験できる面白さからか、今は無き列車なども出てくる懐かしさか。
これらの列車はまだ存在するが、当時そのままではないようだ。
今回の旅行と繋がる部分もある。
あ、「鉄道旅手帳」の新たな使い方が閃いた!
北斗1号殺人事件
2007年9月14日第1刷発行
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