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2007.09.10

マクベイン【キングの身代金】

キングの身代金

キングの身代金エド・マクベイン〔著〕井上 一夫〔訳〕
出版 早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

発売日 1978
定価 ¥735 (本体 : ¥700)
ISBN   4-15-070761-8

土曜日に朝日テレビで放映されたドラマ「天国と地獄」の原案。結局見なかった。
マクベインが面白いのは、時折自作についてさりげなくふれている点だ。本書に関しても「ラストダンス」で、

彼女が見た映画は回顧上映されていた黒澤作品のひとつで、タイトルは《天国と地獄》だった。安っぽいミステリものを書いているアメリカ人作家の小説からとったものだ。
というくだりがある。


さて本書だが、子どもの頃から貧乏で丘の上に立つ豪邸に憧れていたキングは、同僚をけ落としてでものし上がり、ようやく望んでいたものを手にする。
上流社会のお嬢さんだった妻を得、かわいい息子もいる。
仕事の上では、次の社長になるべく画策している。

その息子が誘拐された。しかし誘拐されたのは、お抱え運転手の息子だった。
犯人からの電話。その電話に応じることは、新しい取引を放棄することを意味する。
彼は、身代金を払うつもりがない。そういうキングを、妻のディエンは非難し、家を出て行こうとする。

一方の犯人側も、誘拐犯の一人とその妻の葛藤が描かれる。二人とも、貧乏からはい上がって楽な暮らしがしたい。


今回本書では、刑事キャレラはあまり登場しない。
黒澤作品では、刑事役が仲代達也だったし、それなりの重要な役どころではなかっただろうか。
また犯人の描き方はどうだったのだろう?
今回のテレビ放映では、山崎努役を妻夫木聡が演じていたようだが、この犯人はエディなのだろうか?


終わり近く、主犯であるサイの心づかい?が面白い。

殺人も強盗もない、シリーズとしてはちょっと異色の設定だった。季節は相変わらず、寒いとき。


キングの身代金
1977年9月30日 発行
2002年10月15日 15刷


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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ。ドラマのほう、見ました。
犯人に近づいていく展開がゆっくり丁寧で、ひさしぶりに緊張感のあるドラマを見たという気がしました。佐藤浩市、鈴木京香もよかったです。
ただ、犯人側の動機になる貧困の悲惨さが、妻夫木聡のような二枚目からは伝わってきにくい、って難はあったような気がしますが。

投稿: yoshi | 2007.09.10 23:40

yoshiさん、お早うございます。

ご覧になったのですね。やっぱり見たかったなぁという気がしています。

∥犯人側の動機になる貧困の悲惨さが、妻夫木聡のような二枚目からは伝わってきにくい

こうした 子どもの頃の育ち方が現在にどう影響を与えているかといった描写は、映像だけではむずかしいですね。まして目の前のその人がかっこよかったりすると……

投稿: | 2007.09.11 08:16

私も妻夫木くん見たさに^^;
ドラマを見ました。
かっこよすぎて、スマートすぎて貧しさからの犯行というのは伝わらなかった気がします。

でも、被害者側の夫婦の葛藤や苦しみは十分伝わってきました。

原作を読んでいないし、もとの黒澤作品を見ていないので、比べようがないのですが・・・

ところで、身代金って警察に知らせた場合、警察が用意してくれるものと思っていたんです、私。
違うんですねー。
自分の子でも払えないよ・・・って思っちゃいました^^;

投稿: ぶんぶん | 2007.09.11 12:41

ぶんぶんさん、遅くなってごめんなさい。

原作?では、犯人は二人組で従犯の妻の考えは多少判るのですが、肝心の犯人の生い立ちなどは書かれていないのです。
主人公も、苦悩すると言うよりは偶然犯人逮捕の時に居合わせてそれに協力した形になっています。

∥でも、被害者側の夫婦の葛藤や苦しみは十分伝わってきました。

犯人の苦悩も被害者夫妻の葛藤も、もしかしたら、日本人向きに仕立てられたのかもしれませんね。

投稿: | 2007.09.12 15:44

たびたびしつこく失礼します^^

>原作?では、犯人は二人組で従犯の妻の考えは多少判るのですが、肝心の犯人の生い立ちなどは書かれていないのです。

そうなのですか。原作でも描かれていないなら描きようがなかったのかも・・・?^^;

TVでは夫婦2人と妻夫木君演じる主犯一人で計3人という設定でした。
夫婦は薬物依存で、奥さんが誘拐した子どもに優しく、最後はこの夫婦大量薬物中毒で死んだのですが、その最後も妻夫木くんが殺すように仕向けたっていう感じなのです。

刑事は阿部寛だったのですが、ちょっと弱かったかな~。

やっぱり佐藤浩市は何をやらせても上手いな~と思いました。

投稿: ぶんぶん | 2007.09.12 20:35

ぶんぶんさん、お早うございます。

あれ?主犯だったのですか。原作では主犯については、ただの悪党という感じでした。もしかしたら従犯夫妻の苦悩かなぁという気がしていたのです。それについては、少し記述がありましたから。

山崎努なら、映画の犯人はよくできていたのじゃないかなぁ。

投稿: | 2007.09.13 08:18

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