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2008.03.08

伊坂幸太郎【死神の精度】

「長生きすればするほど、周りが死んでいくんだよね、当たり前のことだけど」
死神の精度

死神の精度伊坂幸太郎〔著〕
出版 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2008.2
定価 ¥550 (本体 : ¥524)
ISBN 978-4-16-774501-1

【日本推理作家協会賞短編部門(第57回)】「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。

伊坂さんらしい暖かさとユーモアに包まれてはいるが、気の滅入る話ではある。

「死神」という仕事をしている?「私」が語る6編の物語。
この死神の仕事とは、不慮の死が予定されている人間と7日間付き合い、8日目の死を「可」と判断するか「見送り」とするかというもの。殆どの死神があまり調べもせずに「可」と報告する中、彼は実直に しかしクールに仕事をこなす。

以下、ややネタバレあり。

その彼が「見送り」にしたのが、一番最初の『死神の精度』だ。対象者の未来に賭けたのか? その答えは、最後に出てくる。

いずれも「オール読み物」に掲載された独立した短編ではあるが、最後の『死神対老女』で見事に相関関係を描く。ここに「重力ピエロ」の春が出てくるのも楽しい。

この老女は、『恋愛で死神』の古川朝美だろう。
彼女は、「私」が登場するやいなや、正体を見破っている。そして、自分の周りには事故で死んだ者が多いと言う。

「そりゃ、死ぬのは怖いけどさ」と恐怖の欠片(かけら)も滲まない口調で続け、「もっとつらいのは」と首を振った。「まわりの人間が死ぬことでしょ。それに比べれば自分が死ぬのはまだ、大丈夫だってば。だから、一番最悪なのは」
と、冒頭に書いた言葉へ繋げていく。


最初の『死神の精度』から最後の『死神対老女』までは50年ほど経過している。最後の一編はやや未来の時代を設定しているようだが、この50年間の変化を考えると矛盾もある。

他に、『死神と藤田』『吹雪に死神』『旅路を死神』。


これは映画化されて、3月22日から公開される。主演は、金城武。いい雰囲気だ。黒ラブが共演している。
金城武が心優しき死神に 映画「死神の精度」(asahi.com.2008年01月31日)


冒頭の言葉は、「長生きすればするほど、別れも多くなるんだよね」と言い換えることが出来るかもしれない。


死神の精度
2008年2月10日第1刷
2008年2月25日第2刷
わずか半月で、2刷が出ている。


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