佐藤多佳子【一瞬の風になれ】
一瞬の風になれ1 イチニツイテ | |
佐藤多佳子〔著〕 |
【吉川英治文学新人賞(第28回)】【本屋大賞(第4回)】サッカーに限界を感じた新二と、やる気のない天才スプリンター連。とくに強豪でもない春野台高校陸上部に入部した幼なじみの2人。それがすべての、始まりだった−。思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説。
珍しく、文庫を待たずに買った。非常にさわやかな本だ。つくづく、自分は こういうのが好きだなと思う。
同じ(中高生の)母親世代が書いた「バッテリー」と違う青春群像。
かといって、葛藤がないかといえばそうではなく、むしろ周りとの違いに悩む高校生を描いている。
新二は、天才的なサッカー選手の兄を持ち、一家を挙げてサッカー家族という家に生まれた。当然のようにサッカーをするものという育てられ方をされ、高校もサッカーの強いところへ行くのが当たり前という家庭。
その中で、兄とのギャップに悩み、違う道を模索する 新二。
物語は、すべて新二のモノローグで語られる。
その新二に、もう一人 ライバルがいた。幼なじみの 連である。これまた天才スプリンター。
新二は、兄の勇姿にみとれ、いままた連の走りに感嘆する。
サッカーではさほど目立たなかった新二の走りだが、結構速い。高校入学後知り合った根岸に誘われて見学に行った陸上部に、新二と連は その日のうちに入部する。
と、ここまでで本書の六分の一ほど。
あとはひたすら、陸上部の練習風景と部員達の交流が描かれていく。
一風かわった、顧問の三輪。それぞれ個性的な、先輩連。
連は嘘のない男だ。友達にも世の中にも、言葉も行動も。ガキっぽくて、やっかいなほど。適当なことも余計なことも一切言わず……。だから、たまにまじめにコメント出されると、心がしんとしてしまうのだ。
「俺はおまえを抜くぞ、いつか」
宣言した。
新二は、連を抜くことができるのだろうか?
絵では非常に薄くて判りづらいのだが、シンプルな表紙が またいい。
09年8月24日、ぶんぶんさんの読書「一瞬の風になれ」に、トラックバックさせて頂きました。
一瞬の風になれ
2006年8月25日第1刷発行
2007年5月24日第11刷発行
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コメント
「一瞬の風になれ」のリンク先が「予知夢」になっているようです。
気になっている本なのですが(元陸上としても)やはり文庫待ちになりそうです。
投稿: ムムリク | 2008.04.21 10:41
ムムリクさん
いつもご指摘をありがとうございます。修正しました。
投稿: 涼 | 2008.04.21 20:15