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2008.04.07

◆有栖川有栖【モロッコ水晶の謎】

モロッコ水晶の謎

モロッコ水晶の謎有栖川 有栖〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2008.3
定価 ¥620 (本体 : ¥590)
ISBN 978-4-06-275988-5

推理作家・有栖川有栖の眼前で起きた毒殺事件に、臨床犯罪学者・火村英生が超絶論理で挑む表題作ほか、クリスティの名作「ABC殺人事件」をモチーフに書かれた連続挑戦予告殺人を追う「ABCキラー」など、全4編を収録。

久しぶりの ◆ 印。

有栖川氏の本は、舞台が関西であるのが親しみやすい。登場する殆どの土地について、知っているからだ。

最初の「助教授の身代金」で、少々ギョッとする。解説でも述べられているとおり、これは火村のことだと思ってしまう。
ここは誘拐された助教授夫妻の住んでいた石切が懐かしかった。まさに坂の街。大阪の夜景が綺麗だ。坂の下の方から見上げたとき、助教授の住まいの灯りが見えるかというのがポイントで、ここから真相がわかる。石切を知っている人には納得できる、うまい持っていき方だ。

次の「ABCキラー」は、アンソロジー「ABC」殺人事件で読んだもの。ABCの頭文字を持つ人たちが次々とターゲットに挙がるというもの。これも、吹田・神戸・木津・門真から高石とあちこち関連のなさそうな地名が出てくる。アルファベットが付く地名については、架空の場所だということだ。
以前読んだときにも思ったのだが、少々こじつけっぽくてあまり面白くなかった。
クリスティの「ABC殺人事件」は読んでいるのだが、まったく思い出せない。

ちょっと息抜きという感じの「推理合戦」。犯罪研究家と二人の推理小説作家の知恵比べ。これは、楽しかった。
ホームズの昔から、黙って相手のことを当てるのは、名探偵の大事な要件か?

最後が、表題作「モロッコ水晶の謎」
予言者を信じ切っての犯行は、怖い。だが解決に導いたのは、その予言者ではなく火村だった。

国名シリーズではあるが、少々物足りなかった。

有栖川有栖 索引

モロッコ水晶の謎


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