◆有栖川有栖【白い兎が逃げる】
有栖川有栖〔著〕
出版 光文社(光文社文庫)
発売日 2007.1
定価 ¥680 (本体 : ¥648)
ISBN 978-4-334-74178-5
ストーカー行為に悩む劇団女優清水玲奈。彼女を変質者から引き離すプランは成功した筈だった。ところがストーカーの死体が発見され、事件は思わぬ展開に。臨床犯罪学者火村英生の論理的思考が冴える4編。『ジャーロ』等掲載。
takoさんに教えて頂いて、購入。
表題作の他に、【不在の証明】【地下室の処刑】【比類のない神々しいような瞬間】の三編を収録。
いずれも、アリスと火村助教授に、大阪・京都府警が登場。
これも、なじみの土地が出てきて、判りやすい。
「私も阪急百貨店の地下でお弁当を仕入れてから新大阪に向かおうかな」などというセリフも出てくる。
【白い兎が逃げる】だけで、ほぼ半分を占めている。これだけで、(やや薄いが)独立した一冊になりそうだ。
【不在の証明】は、双子の兄弟が出てくる。双子が出てきて不在証明と来ればマジックミラーを思い出すが、今回は二人の協力ではなかった。
【比類のない神々しいような瞬間】とは、死の瞬間のことのようだ。アリスがダイイングメッセージを使った小説を書くという設定は、実は著者そのものの話ではなかろうか。
はじめてダイイングメッセージを用いたといわれる【Xの悲劇】を、大いにくさしている。あれは、誰が読んでもこじつけも甚だしいが、ダイイングメッセージというのはそもそもあり得るのだろうか?
さて、【白い兎が逃げる】は、一種の鉄道ミステリー。
関空行きの南海特急「ラピート」と、JRの「はるか」、それにJR特急「白兎」などが登場。
ミステリーとしては、割合早く犯人が判る。だが、動機が判らない。
それに、この時刻表トリックは、少々、いやかなり苦しい。難波から新大阪までタクシーを使うというが、地下鉄を使う方が確実かなという気もする。しかし、南海の難波から御堂筋線の難波までは、5分以上かかる。それに、スイスイとは歩けないし。
また、新大阪で地下鉄を降りても、スッとJRの駅には入れない。
タクシーなら、駅の真ん前につけてくれるが、新御堂筋が混んだらお手上げだ。危険なトリックだと言えよう。
それにしても、兎と亀ですからねぇ。
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白い兎が逃げる 2007年1月20日初版1刷発行
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