東野圭吾【秘密】
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【日本推理作家協会賞(第52回)】妻と小学生の娘が事故に。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは死んだはずの妻だった。運命は愛する人を二度奪っていく…。切なさ溢れる長篇ミステリー。
最後のどんでん返しにはちょっと納得できないものの、幽霊刑事を思い出し、切なくて困った。多分、他の方にはお解りいただきにくい心境だと思う。
平介は、妻 直子と娘 藻奈美との平和な三人暮らしをしていたサラリーマンだ。その平和な暮らしは、直子と藻奈美がバス事故にあうことによって崩れる。
直子は藻奈美をかばうようにして覆い被さって亡くなり、藻奈美は奇跡的に助かる。だが、意識が戻った藻奈美が発した言葉は、直子のものだった。
なかなか受け入れられない事実を二人だけの秘密にして、直子は藻奈美として生きていく。
途中夫婦としての色々な問題を孕みつつ、直子は自分が授かった命を 悔いない生き方で生き直そうと、医学部を目指す。
ところがある日、藻奈美が戻ってきた。彼女は自分が眠っていたと思っている。そして時間が経つと、また直子に戻る。こうしたことを繰り返しつつ、次第に藻奈美は藻奈美でいる時間が長くなり、それに伴って直子は消えていくことが予想される。
「ミステリーではないな」と思いつつ読み進めて、このあたりへ来たところで、この入れ替わりについて妙な考えが浮かんだ。
もし、長男の身体に徹也が乗り移っていることがあったとしたら……。そして、交互に生活出来ていたら……。
そんなことを考えながら読了して、より切なくなっていったのだった。
広末涼子と小林薫で映画にもなっていたようで、広末が映画のことを書いていた。
秘密
2001年5月10日第1刷
2008年1月25日第32刷
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