大阪嫌いの東京人
来るときに読んでいた本に、大阪を嫌悪している東京の女性が出てきた。
東京で結婚し、近くで洋裁の教師をしたり趣味の習い事をしながら、幸せに暮らしていた女性の話だ。
ところが、兄の店を手伝っていた夫が、大阪で支店を任されることになった。だが、彼女は夫と一緒に大阪へ移ることを拒否する。
――おまけに大阪なんて。 いいイメージなどひとつもなかった。金に細かく、隙がなく、おまけに下品――そういう印象だ。と、大阪出身の東野圭吾さんは、あらゆる悪態を主人公につかせる。
そこで別居生活が始まったのだが、ある日夫が殺されたという報せが届く。
やむなく大阪へ行った彼女に、大阪府警の刑事は心斎橋や道頓堀など、夫が生前通っていた街を一緒に歩くことを求める。
手足を動かすカニの看板を見て、彼女はなにかしら不思議な気持ちを抱く。
『心をひかれるような、それでいて不愉快なような、ちぐはぐな気持ち』
それは、「食いだおれ」の太郎を見たときも、同じだった。(当然、この時点で太郎の運命など判るはずがないのも、何かおかしい。)
これ以上書くとネタバレになるのだが、なぜ彼女が大阪を嫌うのかが切ない話だ。
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