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2008.08.17

ヴェルヌ【十五少年漂流記】

ジュール・ヴェルヌ〔著〕波多野完治〔訳〕
出版 新潮社(新潮文庫)
発売日 1990
定価 ¥420 (本体 : ¥400)
ISBN 4-10-204401-9

中学時代、全集ものでスティーブンソンの「宝島」を読んだ時、後ろに(おまけのように)ついていたのが、「二年間の休暇」だった。両書ともダイジェストではそれまでに読んでいたのだが、(おそらく)完訳で読むのは初めてだったろう。
そして、メインである「宝島」よりも、「二年間の休暇」と題された、それまで「十五少年漂流記」としてストーリーのみを知っていた物語の面白さに引き込まれたのだった。

その時は、フランス人の少年が極めて「かっこよかった」ことが非常に印象に残っている。ストーリーの方は、少年たちの乗った船が漂流して無人島に流れ着き……といったことしか覚えていないのだが。

今回再会したその少年ブリアンは、ずっと抱いてきた期待を裏切らない、魅力的な少年だった。
前回あまり印象に残っていなかったが、最年長(5年生で14歳)のアメリカ少年ゴードンも、思慮深く素敵な少年だ。
敵役の少年の描き方など多少類型的なところはあるが、彼らは協力して「共和国」を「建設」していく。そこで選ばれるのが「大統領」というのも、メインがイギリスの少年たちであるにしては少し不思議な印象はある。著者がフランス人であるから、当然なのかもしれないが、学校も当然 イギリス式であるだろうに。
また「大統領選挙」の投票数が14票で1票足りないが、黒人少年コックのモーコーは、当然のように数に入っていないのだった。


波多野完治氏の訳は、シンプルで読みやすい日本語になっている。地図の矛盾を修正するなど、多少の改変もあるという。
こうしたワクワクする翻訳物を、もっと読みたくなっている。
それは、宿題のことなど忘れて読書にふけっていた、中学時代の夏やすみの記憶とも繋がるのだ。


十五少年漂流記
昭和26年11月18日発行
平成2年5月25日66刷改版
平成20年6月15日94刷


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