内田康夫【十三の墓標】
十三の墓標 | |
内田 康夫〔著〕 |
警視庁捜査一課、岡部警部の部下・坂口を5歳の姪が訪ねてきた。両親が帰ってこないと言う。やがて姉夫婦は他殺体で発見された。姪が聞いた「イズミ」という言葉を手掛かりに、坂口は真相究明に乗り出す…。岡部警部シリーズ。
著者のあとがきに、取材にエネルギーを使ったとある。さもありなん!和泉式部の墓所が舞台で、その数十三。
全部は無理として、佐賀県有明町、京都府宮津の天の橋立、兵庫県の余部大鉄橋、長野県諏訪市の温泉禅寺、栃木県矢板市、福島県石川町など、十ヶ所近くを取材なさったそうだ。
同じ旅情ミステリーでも、内田作品はその地方のことを丹念に調べてあると思う。それだけに、事件の方がやや影が薄くなるのは、高田崇史の作品と共通するところがある。
せっかくの和泉式部の墓標という背景を得ながら、この使われ方が少々残念だ。
しかし、ちょうど余部鉄橋の事故があった1986年が舞台で、丹後地方の描かれ方は綿密だった。
岡部警部シリーズとして、テレビドラマになっていたようだ。原作とは違って、マッチ演じる岡部警部が主役だったという。
本書の警部は、やや年上の感じだし、マッチ的岡部警部なら、この主人公坂口が相応しいのだろう。
十三の墓標
平成3年8月10日初版発行
平成20年8月30日39版発行
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