東野圭吾【容疑者Xの献身】
容疑者Xの献身 | |
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【直木賞(第134回)】【本格ミステリ大賞(第6回)】天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。『オール讀物』連載を単行本化。
このような献身があり得るのか?
最後は、それが報いられたとは思えないが、しかし受け入れられるものでもなかろう。
最良のライバルは、真の友人になる。
その湯川が好敵手と認めた同期生が、今回の容疑者である。彼の苦悩は、計り知れない。
同じく同期の草薙との友情を終わらせてでも、湯川は容疑者Xを守ろうとする。
冒頭、石神がわざわざ職場(高校)への道を遠回りして河川敷を歩いていく。
そして、この河川敷に住まうホームレスたちの暮らしぶりを丹念に描いていく。この石神の観察力が、実は伏線になっている。
次にこの場所が登場したときの描き方で、オヤと思わされる。この辺の描写はうまい。ここがずっと引っかかっていたのだが、やはりそれが最後の謎解きと結びついていた。
このトリック?を使っての完璧なアリバイ作りによって、石神は、生きる希望を与えてくれた靖子母子に報いようとする。まさに、献身である。
石神が容貌を気にすることで、彼の恋心に気づいた湯川は、やはり朴念仁ではない。
何とも切ない、ミステリーではある。
コロンボ式(犯人が判っていてそのアリバイ等を崩す)やり方に見えて、著者はもう一ひねりしている。いつもの、東野ワールドである。
映画が封切られた模様だが、テレビと同様女性刑事が登場するようだ。
容疑者Xの献身
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