内田康夫【佐渡伝説殺人事件】
| 佐渡伝説殺人事件 | |
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「事件」を隠蔽する権力。それに抗う小さな魂…。政界・マスコミをも巻き込み推移する事件の真相を追い、浅見光彦は佐渡の「願」の地へ。
黒幕については、途中で(多分浅見より早く?)わかってしまう。
浅見を襲ったのを女性ということにしたのは、佐渡で花を手向けた女性と混同させるためだろうが、いささか無理があるのではなかろうか。
佐渡出身の方が本書を読むと、悲しくなってしまわないだろうか。
それほどまでに、佐渡は悲しい土地として描かれている。
プロローグがが、いつものように関係者のモノローグというのとは違って、浅見自身の書いたものだというのが これまでと少し趣向が違うようだが、やはりこれが伏線になっている。
長く忘れていた「賽の河原」の話を、思い出すことになった。幼くして亡くなった子どもたちが、賽の河原で石を積む。夕方になると鬼が来て、せっかく積んだ石を崩してしまう。
『ひとつつんでは ちちのため』
『ふたつつんでは ははのため』
こうした仏教説話を、子どもの頃よく聞かされた。
子ども心にも、仏様の慈悲というよりは逆に無慈悲に感じたのは、何故か。
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