内田康夫【薔薇の殺人】
薔薇の殺人 | |
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浅見光彦の遠縁の大学生緒方聡が女子高生誘拐の嫌疑をかけられた。人気俳優と「宝塚」出身の女優との秘めやかな愛の結晶だった彼女は、遺体で発見された。浅見は悲劇の真相を追い、乙女の都「宝塚」へ。
女の園である宝塚歌劇団では、華やかな半面妬みや嫉妬も多いと聞いたことがある。
本書はそうした抜擢や人気への妬みではなく、人が本来持っている「愛されたい」という感情が招いた悲劇かもしれぬ。
光彦の母雪江夫人が、熱烈な宝塚ファンだったというのが、微笑ましい。
雪江夫人が挙げた宝塚出身の女優の中に、乙羽信子の名前があったのは、当時のスタートしては当然だが、少し笑える。
そういえば、母も「100万ドルのえくぼ」の持ち主、乙羽信子のファンだったっけ(映画女優としての乙羽さんだが)。
浅見光彦と言えば、色んなタレントがテレビで演じているが、何故か水谷豊が印象的だ。その際の雪江夫人役が乙羽信子で、兄は高橋悦史だった。お二人とも、鬼籍に入っていらっしゃる。
さて、本書でも光彦の執拗なまでの調査によって真実が明らかになるのだが、最後はあまりにも悲しい。
薔薇の殺人
平成6年10月26日初版発行
平成20年7月15日31刷発行
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