時実新子【思いもかけない幸せ】
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これも、ワケありの本。
タカラヅカにはまった嫁、一日郵便局長体験記、必ずスリムになれるシンコサラダなど“思いもかけない幸せ”満載のエッセイ集。一編一編に俳句を付した「産経新聞」連載エッセイをまとめた一冊。
このBK1の紹介文も、おかしい。著者は、日本一と自負していらっしゃった川柳作家である。
初出はサンケイ新聞連載とあるが、時折読んだ記憶がある。実家へ行ったときに、読んだのだろう。
お嫁さんが宝塚に夢中になり、お母さん(著者)にチケットを頼む冒頭の話「はまる」など微笑ましいものからはじまっている。最初の二つの章あたりは、まさに幸せを呼ぶエッセイといったところ。
文体から田辺聖子さんを思い起こしたが、ご本人も田辺さんとは親交があったようだ。だが、田辺さんのほんわか調とはちがい、話題は次第に深刻になってくる。家族との葛藤など、読んでいて時に辛くなる。
特に、子ども時代のイジメに関しては、その小学校から講演依頼があっても、「行きたくない」と断ってしまうほど深刻だった。自殺まで考えた小学時代であったという。
それを救ってくれたのは、転居してくれた両親であり、後年色々とわだかまりが出来ても、やはり親の愛情が著者を救ったのだろう。
同じようなことは夫婦間でも垣間見られ、若い頃の情熱からは遠くなった初老の夫婦のあり方もまた良きかなという印象を受ける。
お聖さん(田辺さん)に比して、何となく生臭いような気がして、ベストセラーになった「有夫恋」も読んでいない。が、何に対しても、真摯で正直な方だったのだろう。
思いもかけない幸せ
1998年8月19日第1版第1刷発行
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