清水義範【尾張春風伝 上】
| 尾張春風伝 上 | |
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春、という名の男がいた。若い時は通春といい、後に宗春となった。思考が明晰で、楽しげなことが大好き。やることが派手で、どこか常識の枠を突き抜けている男・徳川宗春の生涯。
一ヶ月ほど前に、山田風太郎著【忍者月影抄】について書いた時、takoさんに教えていただいた本。
面白い。痛快だ。
上巻は、まだ通春と呼ばれていた若き頃の話。吉宗が将軍になって享保の改革に乗り出した頃まで。色々なことに興味を持ち、遊び好きでやや羽目をはずすきらいのあるみそっかす若様が、ようやく自分の考えをまとめようとするところまで。通春の考え方が、生き生きと描かれている。
著者の清水氏は、名古屋出身だとか。「名古屋もの」を多く出しておられるようだ。
家臣たちの使う名古屋弁が、楽しい。
下巻は、やがて吉宗と対立していくところが描かれていくのだろうが、吉宗を名君と見る側からはなんとも鼻持ちならない反抗的な人間として写ったことだろう。
上巻でも、通春の異母兄吉道の母が振る舞いにけしからぬところがあるという理由で、蟄居させられている。通春は、この本寿院にも優しい。だが、やがて来る通春の運命を暗示しているようでもある。
所用のため15年ぶりで名古屋へ帰った通春は、名古屋のいいところとつまらないところについて、考える。変化がなく、進歩がない、名古屋。
やがてその名古屋を活性化させるのが自分だとは、このときの通春に想像すべくもない。
名古屋を自由にしてよいと権限が与えられたら、名古屋をそういう花の大都会にしてみせようものを。 そんな権限が与えられるはずもないから、通春はその夢想を夢想として楽しんだ。そして、元々名古屋にあった、変化や進歩をおそれる勢力によって、通春は表から消されるのだ。
著者のイマジンも、面白かった。
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コメント
こんにちは。
早速読まれたんですね。
「宗春」という名前とうろ覚えのイメージだけでご紹介してしまったのですが、
楽しんで下さったようで安心しました(^^)
投稿: tako | 2009.02.21 22:59
takoさん
面白かったです。でも、下巻は辛いでしょうね。
「暴れん坊将軍」は見たことがなかったので、その描かれ方などは知らなかったのですが、歴史というのは見る側によって価値観が変わってしまうものですね。
投稿: 涼 | 2009.02.22 20:15