奥田英朗【町長選挙】
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離島に赴任した精神科医の伊良部。そこは、島を二分して争われる町長選挙の真っ最中だった。伊良部もその騒動に巻き込まれてしまい…。「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」でお馴染みの、トンデモ精神科医の暴走ぶり健在!
【オーナー】は、とある新聞社の会長で某プロ野球オーナーの「田辺満雄」が主人公。
字をご覧になっただけではピンと来なくても、彼が「ナベマン」と呼ばれているというところでは、ハハーンとお判りだろう。
本書でも、球団の合併問題などで「たかが選手が」などと失言?してマスコミの餌食になっている。
その彼が、不眠症になった。そしてお決まりの伊良部先生、登場。
「パニック障害」と診断された彼は、伊良部と付き合ううちに、少しずつ気持ちが変わっていく。
ついには一切の公職から手を引き、あげく生前葬まですると言いだす始末。
生前葬の当日、
田辺さんこそは、サービス精神の塊だったのではないかと、今になれば強く思うわけであります。晩年は東京グレート・パワーズのオーナーとして、数々の乱暴な発言を提供してこられましたが、記者たちの喜ぶまいことか――。田辺さん、あなたはきっと人をよろこばせることが好きだったのでしょう。といった弔辞を聞いた彼は、一種さわやかな気持ちになる。
帰宅してみると、若い記者の何人かが待っていた。月に一二度話を聞きたいという。まだ強がりをいいながらも、ジンときた彼は彼らを自宅へ上げる。
次の【アンポンマン】は、マンガの主人公ではなく、「安保貴明(あんぽたかあき)」という若手起業家の話。そう、「金が全て」のお方だ。学生時代からパソコンを駆使して会社を興し、『馬鹿がいるうちに稼ぐにかぎる』とばかりに業績を上げていく。そのライブファストの
本社は麻布にできた最先端の超高層ビルに移転し、住まいは誰もが憧れる麻布ヒルズの家賃二百万円の部屋に変わった。
ところが、あるクイズ番組に出演した彼は、簡単な漢字が思い出せなくなる。この兆候は日を追うに従ってひどくなり、遂に伊良部のところへ。
治療なのかどうなのか、伊良部に幼稚園へ連れて行かれてカルタ取りをする羽目になる。平仮名も書けなかった彼は、園児たちに「ばーか、ばーか」と呼ばれてしまう。
しかし、日が経つにつれ彼の意識は少しずつ変わっていく。「大人」な会見ができるようになり、一部のマスコミからは却ってガッカリされる始末。
彼のお方も、早めに伊良部先生に出会っていたらよかったかもしれない。
三編目の【カリスマ稼業】は、若さと美を保ち続けなければならないタレントの悲哀。由美かおるを思い浮かべないでもないが。
最後の【町長選挙】では、伊良部自ら東京都の離島の選挙に巻き込まれるというものだが、少々ドタバタが過ぎて鼻につく。
町長選挙
2009年3月10日第1刷
2009年3月15日第2刷
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