木谷恭介【特急 ひだ3号 30秒の死角】
特急 ひだ3号 30秒の死角 | |
|
少々、殺されすぎ。判っている5人と、まだ見つからない1人。それもかなり特殊な方法での、単独犯である。犯人にある意味ハンディがあることも考えると、かなり苦しい。
探偵役は、見習い弁護士のうら若い女性だ。彼女だけでは心許ないので、バックに検察上がりの敏腕弁護士がつく。
物語は、高山の老舗旅館を舞台に、ドロドロした怨念がらみで展開する。
もともとは何もない「飛騨」という山峡の、都会への憧れが遠因とも言える話だ。
本書の最初の刊行が、昭和62年。国鉄が民営化された年でもある。被害者の一人が国鉄マンであり、事件の舞台の一つが、特急ひだ3号なのだった。
今は「ワイドビューひだ」として残っているこの特急だが、車窓の風景描写はなつかしい。「日本ライン」の案内もあり、美濃太田までの旅路もおすすめ(というか、お誘い)。
「日本ライン」の案内を珍しがる弁護士の卵に、高山出身の主人公が、名古屋圏の列車では沿線案内があるということを言う。
そう、中央線の「寝覚ノ床」でも、長野行きの場合は案内がある。逆方向はなかったと思うが。高山線は単線だから、右側の風景でも案内があるのだろう。
そのアナウンスを巧みのとりいれた、「30秒の死角」なのだった。
| 固定リンク
« 皆既日食 | トップページ | 月命日:記憶とは »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 篠田真由美【センティメンタル・ブルー】(2025.03.17)
- 【くらべて、けみして 校閲部の九重さん】(2025.03.13)
- 【Casa BRUTUS特別編集 器の教科書】(2025.03.11)
- pha【移動時間が好きだ】(2025.03.10)
- 林望【節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由】(2025.03.08)
コメント