藤原伊織【ダナエ】
ダナエ | |
|
個展に出品された肖像画に何者かがナイフを突き立て、硫酸をかけた。その事実を知った画家が取った行動とは? 広告界と美術界を舞台に、男たちと女たちの痛切な悲哀を描いた全3編を収録した、心揺さぶられる作品集。
ギリシア神話のメデューサを退治した若者、ペルセウス。その母の名が、「ダナエ」。
復習劇は、誰をターゲットにしているのか。
孫が、祖父を殺すのか?
変わり者で通っている画家宇佐見には、最初の妻と子を結果的に捨てたという過去があった。
彼の最高傑作の肖像画が破壊され、それは神話の世界を想起させる。
単なる復習譚ではない中編の表題作と、短編2作を収録。
いずれも広告業界とコンピュータを扱った「まぼろしの花」と「水母」は、アラサーの女性がかっこいい。
「水母」では、かつて一緒に暮らしていた女性への贖罪を込めているのか。ぐうたらなCD(クリエイティブ・ディレクター)が最後にふるった蛮勇?がスカッと気持ちいい。
「まぼろしの花」では、この役割をやくざな中年男が担う。著者お得意の分野でもある。
ダナエ
2009年5月10日 第1刷
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 尼野ゆたか【お直し処猫庵】(2021.01.23)
- むんこ【出会ってしまったツルとカメ】(2021.01.25)
- 東野圭吾【サンタのおばさん】(2021.01.19)
- 石阪京子【二度と散らからない! 夢をかなえる7割収納】(2021.01.21)
コメント