関口尚【空をつかむまで】
空をつかむまで | |
関口 尚〔著〕 |
【坪田譲治文学賞(第22回)】旅立ちの日に、その日のまえに、ぼくらには、したいことがあるんだ−。海岸近くの小さな村に暮らす中3の優太。市町合併に伴う廃校を前に、トライアスロン大会に挑む。忘れてしまった、あの頃のあなたのような少年少女の物語。
僕、長谷川優太。小学生の頃は、天才と呼ばれたサッカー少年だった。
それが、中学生になる頃から、急に下手になった。無理な練習で膝を痛め、今は体育の授業にも出ない。将棋クラブ所属。わけあって、水泳部にも所属。
モー次郎こと山田幸次郎は、勉強が苦手で行動がスローだ。そのせいもあって、小学時代はいじめられっ子だった。だが、将棋は強いし、歌もうまい。将棋部と水泳部に所属しているが、泳げない。
岡本暁人、ニックネームは「姫」。
小学5年生の頃、東京から転校してきた。グループを作って、モー次郎をいじめていた。
元はただ一人の、水泳部員。中学生記録を持っている。
藤谷美月。優太の幼なじみで、今は姫とつきあっている。
この4人の中学3年生を中心に、優太の担任や水泳部の顧問が絡む。
さらに、優太や姫の家庭事情も複雑だ。
中盤、少々ダレ気味にはなるが、廃校になる母校を背負って、3人がトライアスロンのリレー種目に挑むことになるストーリーは、やはり面白い。
まったく初めてのトライアスロンを指導してくれる謎のおじいさんの正体は、もう少し判りづらい方がよかっただろうか。
昔、少女小説という分野があった(と思う)。
貧しくてけなげな主人公と、お金持ちのいじめっ子。
古くは吉屋信子の「花物語」なども、そうなのだろうか。
最近は、「バッテリー」や「一瞬の風になれ」など、少年小説と呼びたいような作品が多い。
宮部みゆきの少年ものも、それに入るのかもしれない。
それにしても、(本書の親本出版は2006年だが)今時の中学生の進んでいる?ことよ(嘆息!)
空をつかむまで
2009年6月30日 第1刷
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